第16話


「……これって」


「そ。お前が俺を励ます為にくれたメール」


「だって。もう一年以上も前に送ったメールだよ?」


「保護してっから」


 そう言って、真っ赤になった僕の顔を見ながらまた笑った。




 雪はゆっくりと降り注ぎ、きっと蘇らせてくれる。


 長く続く線路の先に、耳に聞こえるざわめきの中に、光り輝く残像を。




 心を射抜く、あの声を。






「どうって事ないよ」







 ――と。






 目を閉じて、天を仰ぐ。


 雪が鼻に乗っかり、僕の体温で溶けて、そっと頬を伝っていった。







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雪の残像【BL】 Motoki @Motoki_Rhapsodos

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