篠山紀信とヘアヌード

 宮沢りえ「Santa Fe (サンタフェ)」写真集に関連して、児童ポルノ禁止法の改正の話。

 

 イラスト・漫画の創作者から、芸術家、写真家、映像作家などすべての表現者、クリエイター、アーティストに関連が深いのは、平成26年(2014年)児童ポルノ禁止法の改正。平成27年(2015年)7月から単純所持も処罰対象となった。


 撮影時にモデルが未成年のヌード写真集は有害図書の単純所持で罪に問われることになり、宮沢りえを撮影した篠山紀信の「Santa Fe (サンタフェ)」など、すでに所持している写真集はどのような扱いになるのか、議論が巻き起こった。(撮影は1991年5月〜6月に撮影、4月生まれの宮沢りえは18歳になったばかりと判明したが、撮影時15歳の栗山千明の写真集はアウトだろう。)


 すでに手にしている未成年の写真集は廃棄するしかないというのが弁護士の意見だが、家族写真まで全てに遡り、単純所持の処罰対象とするなら、赤ちゃんや古い家族写真を持つ全ての国民に当てはまることになり、現実的でない。


 海外の写真集でモノクロームの芸術写真風のものは、アンダーヘアが写っていてもお咎めなしだったと篠山紀信は取材で話す。日本のヘア・ヌード写真の事実上の解禁と言われたのが、平成3年(1991年)の篠山紀信撮影の樋口可南子の写真集「water fruit」。当時、「表現の自由」の獲得や権力に楯突くつもりなどなく撮影されたが、週刊誌がヘア・ヌード解禁と騒ぎ出し、センセーショナルに取り上げられたらしい。


 篠山紀信は「規制のある中、それも含めて撮るというのが面白い、写真は時代の写し鏡」とスポーツ紙の取材に答えているが、確かにそう思う。萎縮した気持ちで被写体に向かっても何も表現できない。どの国にも規制はあるが、ある程度割り切った気持ちで、時代も法律もその時々で動いていくと思って、表現していくしかない。


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参考記事

日刊スポーツ

篠山紀信氏「時代が呼んだ」ヘアヌードで社会現象に

[2019年2月4日7時1分]

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表現の自由〜猥褻表現はどこまで許されるのか、最前線 @0078

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