第76話 天才は天才を産む

 ここは、とある国営研究所。


 人類史上最高の知能を持つ天才科学者S教授の手によって世界最先端技術のAIロボットが1週間で完成した。


「やっぱり流石にすごいですね」


 そう言い、完成したAIロボットを見る助手の体は少し震えていた。と同時にひどく疲れているのか声に張りが無い。


「まぁ、世界最先端といえども私にとっては簡単な事だ。私自身の知能を忠実に再現したまでだよ。それがたまたま人類史上最高のスペックだったというだけ」


「んー、でもやっぱり流石です。S教授の知能がこの世にもう1つ増えたとなると人類の進化は200年、いや300年は早まりますよ。さっそくマスコミに連絡して1週間後には会見を開きましょう!」


「会見か……」とS教授は渋い表情で唇を噛み締めた。


 その様子を見て、助手は座り込んで頭を抱える。


 S教授は人類史上最高の知能を持つが故、一般の知能が理解できるレベルまで説明を噛み砕く事にいつもストレスを感じていたのだ。


「そうだ! さっそくこのAIロボットを会見の席に着かせようじゃないか。心配いらない、私の知能を全てインプットしているのだから、きっとうまくやるさ。私は少し海外にでも行ってゆっくりと足を伸ばすよ。会見までの1週間、このAIロボットを天才科学者S教授として任命する。頼んだぞ」


 1週間後……。


 ここは、とある国営研究所。


 人類史上最高の知能を持つ天才科学者S教授の手によって世界最先端技術のAIロボットが1週間で完成した。


「やっぱり流石にすごいですね」


 そう言い、完成したAIロボットを見る助手の体は少し震えていた。と同時にひどく疲れているのか声に張りが無い……。

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