第7話 目指すは


―真奈美はどう思う? この二人。ナレーションが響く。


 うーん、恋愛体質と冷静女子、といった所か。

「泉姉は、本人が幸せだよね。でも……ちょっとアレかな。少し痛いというか」真奈美は遠慮がちに云った。


「佳代姉はしっかりしているけれど……隙が無くて近づきがたいかも。ああいう感じで、運命の人に、出会えるのかな」真奈美は遠慮がちに云った。

 何処にいるかも解らない、ナレーションをしている人(?)に。


―あの二人の人生の一部、参考になった? ナレーションが響く。


「うーん、どうやって動いたら、いいんだろう? 早く結婚してしまうと、やるべき事も決まってしまう気がする。前例がたくさんありそうだから良くもあるし、つまんない気もする」真奈美は本気で考えていた。

 かといって、どちらを見習うか、選びたくない。

 見習うとしたら、泉姉のフットワークの軽さと、佳代姉のしっかりさ、かな。


「でも、泉姉みたいだと……ちょっと恥ずかしいかも、人の目が。でも佳代姉みたいだと、自己本位になりそう」


―どうした真奈美、動けなくなっているね。それ、一番駄目なパターンだよ。ナレーションが、響いた。


 だって……。


―姉たちは今現在、キラキラしている? ナレーションが、尋ねた。


 泉姉はお嫁に行ってしまったけれども、定期的に家に来る。近頃お化粧を覚えたのか、以前より綺麗になった気がする。

 佳代姉は元々イケているけれど、年を追うごとに綺麗になっているし、いつも輝いている。


「うん、双子の姉たちは、どっちもキラキラしてるよ」


 そうだ、姉たちは、いつも綺麗だ。私が何度か見た映像は、あくまでも姉たちの人生の一部だ。


―真奈美の人生だよ。誰のせいにも出来ないから、自分に正直に生きる事が、答えを見つける近道かもしれないね。ナレーションが、響いた。


                  〇


 水上君を、よく見るようになった。誰と仲が良いんだろうとか、どういうものが好きなんだろうとか。

 すると気付いてしまった。水上君は、上級生の女の人と、とても親密な仲だと。

 昼休み、校庭の木の陰で、上級生の女の人が水上君に抱きついていた。一瞬だったけれど、私は見てしまった。心臓が、どくん、と鳴った。


                  〇


 中学生になってから、二度目の冬服シーズンになった。一度目は入学してすぐ。衣替えで夏服になり、秋に再び、冬服を着る。


 私は身なりに気を遣うようになった。制服はもちろんの事、普段自分で着る洋服も、まめにアイロンをかけるようになった。


 男女平等について、考えるようになった。以前は男女の不平等さがそのまま不満だった。

 けれども現在の社会は、昔に比べると、物凄く女性の地位が向上したと習った。昔が異常だったから、比べたら、マシって事なんだろうけれども。


 友達にも話している。皆の意見は、皆が違って、面白い。

 けれども私は、学校(教室)という王国の中で生きるフツウの子。

 目の前の事をしっかり見つめて、しっかり考えて、しっかり受け止めて、答えを探す。

 将来の夢は、模索中。

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私の疑問 青山えむ @seenaemu

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