QUEST.-1 いつかの未来

 この世界と“僕”は終わっていた。

 ただ僕らは、ほんの一寸の幸せと、平凡を望んでいただけなのに。

 僕は無力で、なにもできなくて。あの『禁忌の呪法』さえも、狂勇者に届かなかった。

 そして、守りたかった大切なモノさえも――

 すべてすべてすべて――。この1年で、僕は大切な“姫”の心と身体を殺してしまった。

「あ……ぅ……」

 こんな未来、誰が望んだっていうんだ。

 もう流す涙もない。もう怒り狂う気力もない。立ち上がる気力もない。

 それはいつもと同じことなのに。何もできない、小さくなるしか能のない僕――

 僕はこの力で誰も救うことができなかった。姫ちゃんのお兄さんも、*も、**も、***も、レオンさんも、沙菜さんも、**ちゃんも……。

 せめて誰か一人でも救えたなら、この未来が変わっただろうか。

 なぁ、過去の僕よ。あの何もできずに、ウジウジしていた、蛆虫みたいな僕よ。

 この声が届くなら聞いてくれ。そして救ってくれ。この最悪の、『黙示録』の未来を救うため、そして、姫ちゃんの笑顔を救うために――

「きんえん……の、おもい……をとおす、かみの……おんばり」

 過去の僕、そんなにも力が欲しいのか。

 そう……か。なら、これを教えよう。

 これで大切な誰かを救うがいい。


 そして小さな勇者はその世界で瞳を閉じた。だが、小さな勇者の物語は終わらない。

 それは、また別の時空泡にある小さな勇者の冒険の始まりとなるのだから。

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1/100の勇者候補生 カッパ永久寺 @kappaqg

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