その白き壁の青い日々
花和田 鬼小太
運勢
世間では、運がいいとか悪いとか気にしている連中が多くいる。だがらなのだろう。朝のテレビ番組で、各局今日の運勢占いなんて放送するのは。
この間行った都市銀行の電子掲示板にも、あなたの今日の運勢が流れていた。ふざけている。ふざけるなっ!自分の星座が見えそうになったときに、おもいっきり目を瞑ってやったぞ。
何故そんなに運不運について嫌悪感を感じるのかと言えば、そう言った詰まらない情報が自己の行動心理に影響されるからである。特に不運な運勢ほど記憶に残り、行動が制限されたりもする。
運なんてない。必然と偶然の連続性の一事象に過ぎない。意味なんてない。なんでも事柄に意味を持たせないと納得出来ない人間の幻想だ。イライラするスマホで文章を打っていて変な漢字に連続で変換されるぐらいイライラする。
だから僕は運という文字を無くそうと思う。
「余の辞書に不可能の文字は無い。」と昔の成り上がりずんぐりむくっくりおじさんが言ったように。僕も言おう。「僕の辞書に運という文字はない!」
「レイジ君!」
「なんだよ。」
委員長が声を掛けてきた。真面目を具現化した存在。一ノ瀬 エイミ。こういう奴が組織の規則、規範に、真面目に準じるがゆえに、冤罪を多く引き起こす警察官僚とかになるのではないのか。
「担任が呼んでたわよ。」
「生徒指導室に必ず来なさいって!」
昇降口で靴を履こうとしていた。僕は顔も見ないで。答えた。
「今行こうとしてたんだよっ。」
「帰ろうとしているじゃない?」
「一日中このプレハブの校舎にいると息が詰まるんだよ。ちょっと陸上部とランニングしてから行く。先生に伝えといて。」
「ちょっと!わたしは伝言板じゃないのよっ!」
最後の言葉を聞く前に走り去っていた。
僕、前田 レイジは、子どもが多い時代に作られた防災地区に建てられたプレハブの校舎で毎日寝ていや、勉学に勤しんでいる。この高校、正確には分校には、グラウンドがない。なので近くの公園のマラソンコースで陸上部は部活動をしていた。
「はぁはぁはぁはぁ」
「…」
「いかに私が、魅力的な女教師だからといって公の場で発情するとは、何事か!」
「いえ。ちょっと走って来たので。」
食いぎみに否定する。
「遅刻だ。10分前行動を知らんのか?このまま社会に出て時間を守れないクズに成りたいのか?お前はこの部唯一の部員なんだ。自覚が、足りんぞ。」
大人の女性にお前って言われると興奮しますよね。…しませんね。少し遅れたくらいでこの罵倒ひどいです。
「はぁ。」
「お前はいろいろ足りないが、特に覇気が足りない!返事をするか。息を整えるか。どちらかにしろ。」
ひどい事言われている…。後、色々の部分を詳しく!
生徒指導室が、部室と言う地獄の環境。今は、我が英語部の部活動中なのだ。
「自覚と言われても。強制入部なので…」
「それはお前が、バカなのが悪い。」
言葉を選ばない女教師。女教師っていかがわしいDVDぐらいしか聞かないよね。それに、確実に無意識の差別。
何故強制的に入部させられたのかと、申しますと。英語で赤点を取りまして。一応補講も受けたのですが、このままでは単位あげられませんよーとなり。部活という名の第2の補講で現在に至るのです。
「誰と話している?」
モノローグに、突っ込むのは辞めてくださいね。
「顧問と、一対一の部活ってなんか。付き合ってると誤解されま」
殺気
「る訳ないです。」
「お前はどうしても留年したいらしいな…」
「すいませんでした!」
「そんな事よりも。」
英語教師、牧野エミリは、饒舌に話す。この部に入れられたのは、英語を基礎から勉強する事が目的だったはずだったのだが。いつの間にか彼女のストレス発散の場になってしまっている。具体的には、僕が彼女の自慢や愚痴を聞く場に。
「ぼそっ(僕はカウンセラーかっ)」
「何か言ったか?」
「いいえ…」
「お前は宝くじを買った事はあるか?」
「ありますよ。年末ジャンボぐらいは」
「当たった事は?」
「一万円が最高ですかね。」
「ふふ」
馬鹿にされているのは、よーく分かっていますけど、目の前で鼻で笑われると、イラッとしますね。
「お前の運はそんなものか。」
僕の辞書には、運という言葉はない。
「言っている意味が分かりません。」
「なんだ…随分反抗的だな…」
「偶然にいいも悪いもないので。」
「win5で100万円当たった事をただ自慢しようと思っていたが…。」
「運がいいとか悪いとかそんな事を言うのは努力もしないで結果を求めている輩で。」
「その努力を怠った結果、お前がここにいるのだがな。」
「でした。///」
たわいのない会話は続く。
「やめてっ!運気が下がるっ!」
その白き壁の青い日々 花和田 鬼小太 @takashi00
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