第12話

暗闇の中、オルゴールの音が響く。


薄明かりの中、少女は椅子に座って眠っていた。


黒い服を着た青年が現れ、足元に何かを置いていく。


青年は、微笑むと、闇の中へと消えていく。


消えかけた心の灯火が再びともるように、少女の視界が光で満ちる。


真白 あれ、寝てたのかな。…なんだか、不思議な夢を見ていたような。


立ち上がる真白。足元に何かが落ちているのに気づく。


そっと拾いあげる。


真白 私の絵の具セット…なんでこんなところにあるんだろう。


ゆっくりと、凍ってしまっていた表情が溶けていく。そして、笑顔へ。


真白 お兄ちゃん、きっと見てくれるよね。


真白 …久しぶりに、描いてみようかなぁ。


ずっと昔に使っていた、思い出の絵具たちだった。


真白、それを、大事に大事に抱きしめる。

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真白のキャンバス まそほ @masoho118

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