番外編

これは俺と白雪が出会ったばかりの頃の

話。

その頃の零は自傷行為を繰り返していた。

特にリストカットが1番多くて

他にも屋上から飛び下りをしようとしたり

お風呂での溺死。

止めはするがなんといえば良いのかが

分からず、俺は零を養う為にも

金が必要だと自分に言い訳をして

仕事だけをひたすらこなして、

家の事と零のことはヒュプノスに

まかせきりだった。

ある日、仕事が早く終わり早めに

家に帰ると部屋の中は真っ暗で、

何か悪い予感がして電気をつけると

リビングでヒュプノスが零の腕を

掴んで泣いていた。

その手には血が滲んでいて、

零の方はぐったりとしていて

いつも顔色は良くないがいつもよりも

青白く息も浅かった。

ヒュプノスが直ぐに救急車を呼んでいたのか

救急車のサイレンが聞こえて

零は病院に連れていかれた。

俺は1人になった部屋で、

何をしていいのかもわからずただ自分を

責めていた。そしてどれぐらい時間が経った

のかは分からないがヒュプノスが

連絡が来て手術が無事に終わったと。

そして次の日の仕事を休み

早朝、零の病室を尋ねると

丁度目が覚めたところらしく薄く

目を開いた零が俺を見つめて

「間宮さん·····仕事はいいの?」と

言葉も途切れ途切れで言った。

「良いんだ。今は」と言うと、

少し口角を上げて「じゃあ寂しくないね」

と言ったので、俺は

「分からなかった。零が自傷行為を

続ける理由も止めさせる方法も

だから金さえあればなんとかなると

思っていた。なあ?零俺は間違えたのか?」

と言うと 零は「どうなのかな、でも僕は

血が流れてるのを見るとまだ生きてるって

感じてた。そしたら分からなくなっちゃって辞め方も笑い方も本音も全部ぐちゃぐちゃ になっちゃった。本当は痛かった。

辛かった。でも皆頑張ってるから僕

迷惑かけたくなくてだまってればいいのかなって」と大粒の涙を流しながら

言う彼女を見て自分の間違いに気づいた。

そして彼女の傷口に優しく触り

「痛かったな、ごめんな気づけなくて」

とだけ言った。

ということもあったが、

思えばあの日から零は変わった気がする。

自傷行為も少しずつ回数が減り

嫌いだった食事もとるようになり

少しずつ外に出るようになった。

いい方向に変り始めた彼女を

これからも俺は静かに支え続けたい。

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愛も恋も 雪月花 @sirayuki0124

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