第3話

 満は電話の向こうから返事が無いでおかしいと思った。数分後、向こうからの答えが満へ伝われた。満は何も言わせなかった。

 「本当…に?本当に…いる?」

 「うん。いるわ。知らなかった?」

 「全然。一回も会えなかった」

 「えぇ?ウソ!」

 満は何も言わずに考えてみた。でも、なぜ母親がそんなに驚いてるのかが分からなかった。

 「へ、変なの?僕が彼を知らない事が?」

 「当たり前だよ!和真のこと、覚えてない?満の双子じゃん?」

 「ふ、双子?」

 満は考えをやめた。これ以上何が行ってるのかは満に大事な話じゃなかった。満にとって大事な物は自分の過去だった。

 「あ、あの、あ母さん?僕、ちょっと聞きたい話があるけど、僕に兄弟があったけ?」

 「何言ってるの、満?和真はあんたの弟だよ。高校は違う場所だったが、まさか三年くらいの間に和真のこと、忘れちゃったの?」

 満は自分の母親の話の中に矛盾があると思った。

 「お母さん、実は僕、大学に支援した事実が無い。和真のやつが僕の身分を使って支援したんでしょう?」

 電話の向こうには何も聞こえなかった。

 「やっぱり」

 満は長くダメ息を出して話を続けた。

 「お母さん、実は、僕、二年前からの記憶が無くなって、あの和真のやつを知らなくて、あいつとあいさつも無くすれ違ったんだ。ごめんね。今の僕には高校一年生の頃が最初の記憶だよ。騙すつもりは無かった。冗談もないから慌てないで」

 記憶喪失。満の頭には二年前の記憶だけだった。あの事実を満はあの時気づいた。自分が知らない支援と学籍、そして母親の話で満は自分が記憶喪失だ事を分かった。彼のほっぺには水があった。

 満は困難な状況に巻き込まれた。でも、満の状況が絶望的な事はなかった。自分が知らない人のおかけで憧れた場所へ行って勉強が出来るわけだ。


 満は全ての事実を知りたくて色々頑張った。だが、四月九日まで満が集まった情報は自分が三年前からここに住んでいた、それだけだった。家族は親以外の者を知らなかった。親戚がいるはずだが、満の親は連絡が出来る日が少なった。そのせいで満は自分の双子の存在まで知らなかった。

 「どうして僕の双子はあんなに冷たかったか?」

 満の独り言が彼の部屋に広がった。満はしばらく底に座って閉じていたノートパソコンを見た。この部屋にある全ての物が買ったり拾ったり貰ったりしなかったと満は思った。

 「はあい。どちら様ですか?」

 外からのノックに考えを切ってドアを開けた。外には満と同じ顔をする人が立ち上がっていた。

 「青城満さんですか?」

 「はい、僕です。あなたは、青城和真…さんですか?」

 「そうです。やっぱり覚えてないよね、俺を」

 自分と似合ってる和真の声で満の気持ちは微妙な状態になった。記憶が無い、自分の声見たかった。

 「ど、どうぞ、中へ」

 「では、お邪魔します」

 和真は部屋を観察してダメ息を出した。そして満のノートパソコンがある机の周りへ座った。満もあの机の周りへ、和真を対面して座った。

 「和真さん、どうして急に?」

 「お母さんの命令でした。スマホを出してください」

 「はい?」

 「早く!電話番号の交換だよ!」

 「は、はい!」

 満は慌てて自分のスマホを和真に渡した。和真は自分のスマホを出して電話番号を交換した。渡された満のスマホには本家の電話番号も入っていた。父親の番号もあった。

 「な、なぜ?」

 「だ、だから、俺たちは家族でしょう?連絡までしなければならない」

 「はあ…」

 和真は声が揺られた。自分を知らない家族、身分を奪った人、和真が大学に入学された人の前で和真も気持ちがよくなかった。和真は満に自分が作ったネットの大学ポータルのパスワードを渡った。もちろん学番も教えた。満は全ての過程をぼんやり見た。

 「身分を奪って申し訳ありません。今まで失礼しました」

 和真が挨拶をして離れるまで満は何も考えなかった。


 満は自分の身分を取り戻した。満の大学生活も、もう始まった。

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俺はエルフだ!それがなんだよっ? 水原たかし @hycerio

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