終章

終章

披露宴会場のドアがぎいと重々しく開いて、顔を表した人物は、、、?

「あ、水穂さん!」

まさしく、黒い羽二重の着物に身を包んだ、水穂その人であった。しっかりと礼装を着こみ、縞模様の袴をはいている。そして、背中は相変わらず、衣紋抜きをして着ているように見えるのであった。それも、芸妓や娼婦と同じくらい抜いていた。

水穂は、一度会場の中を見渡して、会場内にピアノがあることを確認した。そこまでよろよろと近づいていくと、演奏をやめてしまったピアニストに、一曲弾かせてもらえないか、と、お願いした。その権幕にピアニストは驚いてしまって、彼にピアノを譲り渡した。

水穂は鍵盤を持っていた手拭いで鍵盤を拭くと、曲名も何も知らせずに、ある曲を弾き始めた。初めは物寂しい前奏で始まり、やがて、ロシアの労働歌のような重々しいメロディに変わった。ここまでくると、

「ゴドフスキーのジャワ組曲!」

と、タイトルを、当てることができるようになった。

そのまま演奏は続いていく。基本的に一曲は五分程度の短い曲ではあるのだけれど、とにかく音が多く、一般の人が弾きこなすにはとても難しかった。なんだか、ジャイアント馬場くらいの体格の人でないと、弾きこなすことはできないという理由がよくわかる難しさだった。それを、ここまでやつれた華奢な人物が弾きこなすのだから、やっぱり、天才の演奏というべきなのだろう。

「ちょっとぱくさん。」

ジョチは、入り口のほうへ行って、どうしていいかわからずに立ち尽くしているぱくちゃんに、ちょっときつく言った。

「どうしてまた連れてきたんですか。あれほど、安静にさせておくようにと言ったのに。」

「理事長さんごめんなさい。水穂さんがどうしても、恵子さんたちのお祝いをしたいと言ってきかなかったんです。」

ぱくちゃんは、涙ながらにいう。丁度その時、ジャワ組曲の第三曲、非常に荒々しい部分が聞こえてきて、ジョチも、怒るに怒れなくなってしまったのであった。

二人は、黙り込んでジャワ組曲を聞いていた。

ゴドフスキーは、ショパンに比べると、荒々しくて俗っぽいという評価が付くという。まさしくこのジャワ組曲はその評価がぴったりだ。ショパンが公家たちのお遊びというのなら、ゴドフスキーは、一般市民たちの汗水たらして、必死に働いている様子が描写されているような。日本でいうところの炭坑節か。理由何てわからないけれど、水穂さんはもしかしたら、そういう訳でゴドフスキーを十八番としたのではないか。そんな気がしてしまうのだった。

「まさしく、天才の演奏ですな。」

組曲は明るいものばかりではなく、ゆったりとした曲もあった。でも、本当に安定しているわけではなく、どこか重く、でも壊れてしまうような繊細さも感じさせた。そこも、ゴドフスキーの魅力なのかもしれなかった。

ジャワ組曲は、全部で12の楽章があった。さらに細かく分けると、3つの小さな曲が、4つの巻にまとめられている。ピアニストがリサイタルなどで演奏する場合は、大体1巻だけなど抜粋することが多い。もちろん理由は、非常に難しいので、体力を考慮してのことである。だから全曲演奏されるということはまれである。

「水穂さん、全曲演奏するつもりなのかしら。」

招待者席に座っていた天童あさ子先生が、そんなことを呟いた。

「い、いや、無理よねえ。あんな難しい曲を12曲最後まで弾ききるなんて、、、。」

天童先生はすぐに自分の発言を撤回したが、ジャワ組曲は、第6曲、第7曲と続いていく。

ジョチはぱくちゃんを連れて、披露宴会場のほうへ戻っていった。

「ぱくさんいいですか。演奏が終わったら、すぐに製鉄所に連れて帰ってくださいね。でないと、本当に危ないところまで行く可能性もありますから。」

その間にジャワ組曲はちょっと滑稽な雰囲気も見せ始めた。

でも、険しい難易度を誇っているのは、やっぱり変わらなかった。誰でもすぐに弾けるかという曲ではないことはもう一目瞭然と言えるほど、難しい曲である。時には、怒りのようなものをあらわす曲もあった。でも、必ずどこかで、誰かが手を出して、なだめているような、そんな感じの場面がみられた。決して一人で孤立しているのではなく、そっと互いに手を出しているような。それによって怒りも増大してしまうときもあるが、でも、結局明るい元の二人に戻り、もとの生活へ戻っていくことができる。

一人で悩み続け、悲しみ続け、とぼとぼと歩いているような場面もあった。左手の呻るような音の使い方が、それをあらわしていた。重々しい左手のオクターブが、事の重大さを表す。そして、悲しい労働歌を歌う。人生は、そういう悲しいこともあるだろう。誰にも言えないで、一人で耐えていかなければならないことも。時には、二人一緒に耐えていかなければならないことも。でも、其れだって、美しい音楽になってしまうのはなぜ?

そして、いよいよ最終組曲に突入する。この組曲は、これまで以上に難しいのではないかと思われるほど、奏法が難しかった。でも、最終組曲ということもあってか、どこか落ち着いて、ロマンティックな雰囲気もあった。多分きっと、人生を終えた人が、自分の人生を優しく振り返って、山あり谷ありだったけど、生きていてよかったなあと言っているような気がした。柔らかい分散和音が、心を優しく包み込んでくれる、天馬の羽のようにみえた。もちろん、不安定さもあるが、それは壊れてしまいそうな、柔らかさではなくなっている。

多分きっと、結婚生活もそうなるんだろう。そういうことなんだろう。どんな人でも、変化のない人生なんて、ひとつもありはしないから。なにかにぶち当たらない人生なんて、絶対に起こることはないから。いつか、二人でそういうことを語り合う時期が必ずやってくるだろう。その時に、こうして、

天馬が優しく包んでくれるような、そんな人生であってもらいたいものである。

そして、荒々しいというか、非常に華やかな、最終曲が演奏された。この曲は純粋に、結婚の祝いをそのまま伝えているものだろう。とにかく頑張りなさい。とエールを送っている、という感じがもろに出ている曲だ。悲しげな雰囲気はほとんどない、いつでも前向きさを忘れずに、二人で頑張っていってね!ということを伝えているような曲であった。でも、機関銃のように出てくる音の連なりに、

聞いている人は、少々インパクトが大きすぎるかもしれなかった。

最後はオクターブの連発で華やかに曲を閉じた。演奏が終了すると、皆、ブラボーブラボーと叫んで拍手を送った。でも、演奏者は、この賞賛に答えることは、できなかった。

恵子さんたちは、泣いていた。この演奏が、本当にすごいというのは、この二人の反応で証明された。秀明が、恵子さんにハンカチを渡し、恵子さんが秀明にハンカチを渡す。これが夫婦そろって初めての共同作業ということであった。

ジョチは、司会者のおじさんに、祝電披露を再開するように言った。天童先生とぱくちゃんは、水穂のもとへ駆け寄った。水穂は、もう疲れ果ててしまったようで、鍵盤に頭をのせて、動けなくなっていた。

「水穂さん、もうつらいだろうから、製鉄所に帰ろう。」

「いい演奏聞かせてくれてありがとうね。もう恵子さんたちにはしっかり伝わっていると思うわよ。」

ぱくちゃんと天童先生が頷くことすらできない水穂に、相次いでそういった。返答はなかったが、ぱくちゃんは、それを肯定と受け取って、水穂を抱え上げて、会場を出た。天童先生も、危ないから私も一緒に行くと言って、会場を出て行った。会場では、司会者のおじさんが、ダジャレを交えて、祝電披露を続けてくれていたので、招待客は、何も退屈はしなかった。

「もう、歩いて帰らせると、可哀そうだから、私の車で帰りましょうね。歩いていくよりずっと早いわよ。」

「わかったよ、天童先生。」

ぱくちゃんは、天童先生の言う通り、会場近くにある駐車場へ向かった。天童先生が、ワゴンタイプの車を持っていてくれて、助かったと思った。本当は、シートを倒して走ってはいけないとされていたが、あえて、そうしなければ、いけないような気がした。ぱくちゃんは、シートを倒した後部座席に水穂を寝かせて天童先生が用意していた毛布をかけて、自身は助手席に乗った。天童先生の運転で、ワゴン車は、製鉄所に向かって走り出した。

「水穂さん。もうちょっとだから頑張って!」

と、ぱくちゃんは声掛けをするが、まったく反応はない。

幸い、製鉄所は15分ほど走っていけばたどり着けるが、それが、何十分もかかってしまったような気がした。

「着いたわよ!」

製鉄所の前で、ワゴン車は止まった。再びぱくちゃんは水穂を背負って、四畳半に連れていった。

「静かに寝かせてやって。」

天童先生の指示で、水穂を布団のうえに寝かせてやる。

「水穂さんの袴を取って、帯を緩めてやって頂戴。」

「はい。」

ぱくちゃんは、袴の紐をほどく何て初めての経験だったが、何とかして紐をほどくことに成功した。とりあえず、袴を取り、羽織を脱がせて、着流しの恰好にさせてやった。天童先生が、ちょっといいかな、横向きになってくれる?と声をかけても、反応しなかったので、天童先生は、あおむけに寝かせたまま、そっと着物の上から、そっと手を触れてやった。

「ゆっくり息をしてみて。そう、上手よ。」

優しく語り掛ける天童先生。

なおも体をなで続けると、暫くしてゆっくり息をするようになったので、ぱくちゃんは少しほっとする。

「だ、大丈夫ですか。水穂さん。」

と、同時にせき込む音がした。天童先生が、口元に手拭いを当ててやると、手拭いはすぐに赤く染まってしまった。

「よし、これでうまくいったわ。ゆっくりよ。ゆっくり出してちょうだいね。急いで出してはダメよ。」

水穂は、その通りにせき込んだ。天童先生は、体の一部をなでながら、よし、大丈夫ね、と、彼に優しく語り掛けた。

「ああよかった、とりあえず、助かったのね。」

大きなため息をつくぱくちゃん。

「だけどね、、、。」

と、天童先生はまだ不安なところがあるようだ。単純なあたまのぱくちゃんは、その意味を取ることはできなかった。

丁度その時、製鉄所の柱時計が五回なる。

同時に、ぱくちゃんの携帯電話が鳴った。

「ハイハイもしもし。ああ、え、もうそんな時間?ちょっと待ってよ。今水穂さんが大変なの。もうちょっとまって。」

すると、電話の奥で、鈴木亀子が、こういっている声が聞こえて来た。

「何を言っているの?今日は予約が入っているから、早く帰ってきて頂戴よ!」

「ええー。無理だよ。無理なものは無理だ。」

ぱくちゃんはそういったが、それを聞いた天童先生が、

「ぱくさん、もう帰っていいわ。お店があるのなら、それをしっかりやらないと。」

と、声掛けをしてくれたため、

「わかったよ。すぐ帰るよ。」

と言って電話を切った。

「じゃあ、すみません。僕は帰るけど、水穂さんに本当にごめんなさいと言って置いてね。」

「わかったわ。でも、あなたが謝る必要ないわよ。」

「う、うん、、、。そうだけど、、、。」

なんだか、水穂さんの願いをかなえてやらなかったほうが、悪事をしているような気がしてしまうのであった。

「いいのよぱくさん。そんなことで、自分を責める必要もないから。介護で一番落ちてしまう落とし穴は、そこなのよ。気を付けて頂戴ね。」

「気を付けろと言ったって、僕はおもってしまうんだけどなあ、、、。」

と言いながら、ぱくちゃんは、四畳半を後にした。でも、帰る気はしなかった。

一人残った天童先生は、水穂さんの胸に手のひらを置いた。まだ、息継ぎはまだ細かったが、とりあえず持ち直してはくれたと思った。でも、新たな問題が発生するのではないかと、予想することがあった。これは言うべきか、それとも言わないほうがいいのか。天童先生は、まだ迷う。もしかしたら、またみんなの悲しみが大きくなってしまうのかもしれない、、、。


数時間後。

製鉄所の玄関の戸がガラッと開く。

帰ってきたのはジョチであった。

「水穂さんの引き出物をもらってきました。具合はどうですか?静かに眠っていますか?」

そういいながら、引き出物の入った紙袋を持って、ジョチは四畳半にやってくる。

「ああ、すみません、曾我さん。わざわざ来てくださって。恵子さんたちはどうしていますか?」

「ええ、あれから、うちの焼き肉屋で二次会をしようということになって、いま、敬一の店に向かいました。」

その答えを聞いて、天童先生はちょっと安心した。

「じゃあ、水穂さんの演奏については、、、。」

「ええ、あまりに強烈すぎてしまって、式場のピアニストさんがやる気をなくしてしまったほどです。」

まあ確かに、そうなってもおかしくないほどの、難易度を誇る曲である。

「確かにそうですね。あんなものを、演奏されたら、誰もそのあとに演奏しようなんて、言えなくなりますよね。もうあの演奏をかき消してしまうとか、そんなことを言って。」

天童先生は、もっともなことを言った。

「でも、幸い、司会の方が、上手に持って行ってくださって、演奏がなくても披露宴を続けられるように、してくれましたから、まだよかったのではないですか。」

「そうですね。そういうところは、さすが高級料亭というだけありますね。やっぱり一流のところは、そこが違うのですね。まあ、良かったわ。無事に終了して。」

天童先生は、一度ため息をついたが、絶対に言わなければならないことがあることを思い出して、こう切り出した。

「曾我さん、ちょっと私、心配なことがあるんだけど。これは、信じるか信じないかは、なかなか難しいことだと思うんだけどね、、、。中には、医者でもないのに、偉ぶって体のことを言うなという人も少なくないから。それは、個人の解釈だから、私も反論できないし。」

「僕は、西洋医学がすべてではないことは、よくわかっていますから、何でも言ってくださって結構ですよ。」

ジョチも、そういうところは割と寛大であった。それはよかったと天童先生も安心した。

「言ってみてくださいませんか。」

「ええ、そうですね。実は、水穂さん、心臓に異常があるんじゃないかしら。私たちの用語では邪気があるといういい方をするんだけど。今までは、肺に相当なものがあって、それを落ち着かせることによって、何とか、平静を保ててたわ。でも、今回調べてみて、そこだけではないなと感じたのよ。」

たしかに、東洋医学では、病理医というものが存在しないから、氣功師が患者の体を手で触って、異常を感じ取ることによって診断することは珍しいことではなかった。それが、信ぴょう性があるかないかは、ある意味、氣功師の知名度によると言っても過言ではない。寧ろそれに頼りすぎている一面もある。

「どういうことですか?」

ジョチは、真剣になって天童先生に尋ねた。

「ええ、詳しいことは、心拍とか、いろいろ検査してもらわないとだめだと思う。とにかく、心臓がおかしいことは間違いない。東洋医学では、心臓が具体的にどうなっているかとみることはできないけど、そこだけははっきりしているわ。」

たしかに中途半端な診断で、当たり前というみえない概念は、あることにはあった。そこはたしかに言えている。

「わかりました。具体的には、沖田先生か誰かに聞いてみますから。」

ジョチはそういって、とりあえずそこは逃れたが、何とも言えない不安を感じた。それはもしかしたら、もう最後の診断になってしまうかもしれなかった。

その間にも、天童先生の氣功によって、やっと楽になった水穂は静かに眠っている。

「水穂さん。」

ジョチは、彼の枕元に正座で座って、そう語り掛けた。

「水穂さんの演奏、皆さん賞賛していましたよ。あんな難しい曲を、ああして弾きこなすんですもの。恵子さんも、秀明さんもあんな素晴らしいものを聞かせてもらって、すごく感動したって話していました。一般的にさらりと弾いてしまう偉ぶったピアニストではなくて、ああして必死に弾いている方が絶対に素敵だって、秀明さんがそうおっしゃっておられました。できれば、起きていらっしゃる時に、そういう感想を聞かせてあげたほうが、よかったのかもしれませんが、、、。」

そっと、彼の顔をなでてやった。

天童先生も、その隣に座った。

「今日は、ゆっくり休んで頂戴ね。きっとお疲れになったでしょうからね。」

二人の「偉い人」がそう言っている間、ぱくちゃんは、外の鹿威しをじっと見つめていた。

「僕は、どうなるのかなあ、、、。」

と、呟いたため、まだ帰っていないことがわかる。

「何言っているのですか。変わるのは水穂さんで、あなたは何も変化なく過ごせばいいのですよ。」

ぱくちゃんの姿を見て、ジョチは、そう返答したが、

「いや、一人の人が倒れると、少なくとも、10人以上の人が、影響が出て、変わるんだって。僕が子どものころ、住んでいた村の長老がそういってたよ。だから、僕も変わることになるんだ。」

と、原始的な返答が返ってきた。

「何を言っているの、ぱくさん。変わるか変わらないか、は、人の自由なのよ。何があっても、頑として変わらない人だって、沢山いるじゃないの。」

天童先生が、そう訂正したが、

「いえいえ、僕はどうしても、そう思っちゃうなあ。それが善に行くか悪に行くかは、それはその人次第だというけれどさ。僕は、どうなっちゃうんだろう?」

と、ウイグル特有のいい伝えをまだくちにしてしまうぱくちゃんだった。

「仕方ありませんよ。それは。こういうときは、自身の出身地の伝承が役に立つこともありますよ。そういうことは、時に、人間の支えでもあるんですから、それは、大切にしておいたほうがいいのでは?」

「そうねえ。まあ、こういう人は、それが役に立つと思うわよ。」

天童先生は、ほっと溜息をついた。


数日後。

「蘭、恵子さんからはがきが来ているわよ。」

と、アリスが蘭にはがきを持ってきた。

蘭がはがきを見ると差し出し人は恵子さんである。筆跡から見て間違いはない。しかし、塔野澤ではなく前田恵子となっており、隣には、前田秀明という男性の名が連名で載っている。それに、消印は、福島県郡山市と書かれていた。

「恵子さん、結婚したのか!」

蘭は、思わずでかい声で怒鳴った。

はがきの裏面は、尼寺で撮った記念撮影が掲載されていて、そこに、

「この度、結婚いたしました。私たちはこれから、福島のリンゴ畑で仲良く楽しくやっていくつもりです。もし、福島に来ることがありましたら、ぜひ、遊びに来てください。よろしくです!」

と、書かれていた。

しかも、その相手の男性は、左腕を肩からすべて欠損していた。

「なんでまた、片腕の男なんか選んだんだろうか。」

蘭は、おどろいて開いた口もふさがらなかったが、

「ああ、そうなの。いいじゃない。結構活発な人だから、おとなしい男のほうが釣り合いが取れるかもよ。」

何てアリスは笑っていた。

「そうじゃなくて、水穂はどうなるんだ!ずっと看病してもらわないとならないのに!」

「大丈夫よ。ちゃんと製鉄所の人がうまくやるわ。」

蘭は、ヨーロッパ人はどうしてそう危機意識がないのか、と、言おうと思ったが、それはやめて置いた。それよりも、なぜ、水穂たちが僕の傘下に降りてこないのか、不思議な気持ちになった。

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本篇19、恵子さんの再婚 増田朋美 @masubuchi4996

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