03

「はぁ~、やっと休みだ...」

そう言うと体の凝りをほぐすように腕を回し伸びをする賢次。

「今日は災難だったな。」

そう笑いながら隆司は言った。

「全く、戦闘系の力を相手に一時間ぶっ続けでできるもんだとおもってんのかねー。」

そう言いながらため息をこぼす。

「戦闘系の力って...お前以外で戦闘系以外の力なんて見たことないし、聞いたこともないぞ?

てか、何でそれなのにお前はそこそこ強いわけ?」

ちなみに隆司の方の試合は全敗であった。

「一回見れば次どう動くのか分かるし、力があるって言っても肉体的に強くなるわけではないからそこそこいけるだけだ。しかも体を動かすわけだから疲れると言えば疲れるけども、そこは最低限の動きでなるべく温存できるから問題ない。それよりもきついのがあの火炎やら水やら石とかを避けながら相手に近づかなければいけないのがなぁー。たく、獣人じゃないっつーのにあいつめー...」


力というのは、ほとんどが火を出したり、水を出したりなどといった遠距離系であり、剣を出すといった物体を生み出す力もあるが、それらも投擲として使われている。近接戦をするのは賢次や、能力がしょぼく、遠くまで届かない隆司のようなひとぐらいだ。


獣人はというと耳や尻尾がある人のことを言う。力が使えないかわりに近接戦では常人には出し得ないパワーを発揮する人である。


「...あーあ、獣人ならばこんなことに悩まないですむんだけどなー」

「同感だよ、って言いたいところだけど獣人だったとしてもそこまで強くならない気がするわ。今だってショボい力しかつかえないし。」

そう言いながら靴を出す。

「そうだな」

靴を取り出そうとした時、声がかかる。

「私もいっしょにいくからそこで待ってなさい。」

そういわれ後ろを振り向くと金髪の少女が立っていた。彼女の名前は柚木有紗ゆずきありさ。身長160cmぐらいの金髪ロングの猫耳と尻尾を生やした住所の女の子だ。

「あのなぁ、毎度のことながら言うけどお前、校門に迎えの奴よこしてるじゃんかよ。わざわざ俺らと帰る意味なくない?」

ため息をつきながら賢次はいった。

「それになぁ...。お前といると嫌でも目立つからなー」

有紗は十人中十人が「かわいい」と言うぐらいの美少女だった。放課後といっても部活をしている生徒などもおり、時々視線を感じる。

「はいはい、いつも通りの言い訳ってわけね。さっさと行くわよ。」

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無色の書(旧題.: 襲(仮)) 木島 亮 @KishimaRyo760

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