02

特別練習館α。そこは生徒の力をぶつけあうために作られた場所である。バスケットコート2面分の円形のフィールドが2つあるところで他にもさまざまな用途の練習館があるなかの一番シンプルなところだ。

その場所で隆司達のクラスが試合を行おうとしていた。

「はぁ、やりたくないな...」

そう愚痴をこぼすのは隆司の親友でもある筆谷賢次である。

「さっさとやってこいよ。あいつが闘いたくてウズウズしてるぞ。」

そう言った先には赤髪の少年がしびれを切らしたのか仁王立ちで足音をたてている。

「おい、いつまで待たせるつもりだよ!さっさと始めるぞ!」

ちなみに彼の名前は老藤紀人おいふじのりと。身長は160cmと小柄で血の気が多く、戦闘が好きなやつだ。賢次には最初の頃は全勝していたが、最近負け続けるようになったためライバル視している。

「はぁー...わかってるから叫ぶなよ...準備したらいくから」

そう言いながら更衣室の方へと歩いていった。更衣室の方には準備室があり、そこにはさまざまなものがおいてある。例えば、360度守れる盾、耐水スーツ、衝撃吸収プロテクターなど身を守る道具については十二分にあるが、相手を傷つける道具はまったくといっていいほどない。あるとしたら木刀ぐらいであろう。

「準備できたぞ」

そう言いながら更衣室の方から歩いてきたが

見た目はまったくといっていいほどかわっていなかった。

「両者共に位置につけ」

そう言うのは担任である橋口英樹はしぐちひでき。ぱっとみで格闘技をやっていたとわかるような体つきをしている。

ちなみにこの練習、ルールは相手の防具にダメージがはいるか、コートから出たら負けのシンプルなルールだ。

「...はじめ!」

その瞬間、フィールドの一面が真っ赤に染まり煙が立ち込める。それは一瞬の出来事だった。

「これならよけられねぇだろーよ」

煙の立ち込める中そう確信する紀人

「そこまで」

紀人は勝ったと思った。しかし、

「勝者、賢次」

呼ばれたのは紀人ではなかった。

「は?」

紀人は審判に歩み寄った。

「おいおい、勝ったのはどうみてもおれだろ?」

そう言いながらフィールドをさした。

「おまえのほうが早くダメージを受けたからだ」

審判はそう言いながら紀人の心臓を指しながら言った。

そこには、吸着型のゴム弾がついていた。

「どうして...んだよ...」

「見えていなかったのか?お前が能力を使うと同時に賢次が耐火の布を展開し、そのまま煙の中で撃ったんだ。」

モニターで先ほどのリプレイを流しながらそう言った。そこにはしっかりと紀人が撃たれるシーンが写っていた。

「そんなこと...あいつはなにももってなかったはずだ!」

「君から見えないように細工していたんだよ。それに一歩も動いていないから撃つときはらくだったし。」

そう言いながら賢次は紀人に近づいていった。

「賢次、拳銃なんてどこからとってきたんだ?それは2年にならないと使えないようになっているのだがな?」

審判はそう言いながら賢次に迫った。

「いやぁ、どうしてでしょうねぇ...」

賢次はそう言いながらも目をそらした。

「...今回のことは俺が許可したと上には報告しておく。」

賢次はほっとしたのもつかのま

「だが、罰として今日の試合は時間めいいっぱいまでお前がでろ」

「いや、さすがにそれは...」

「なにか?」

笑顔で迫った。

「なんでもないです...」

その時間、賢次は全勝で終わった。





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