ゆっくりと読まれる詩
私は死にたいか
いやいや 決して死にたくは
ない
私は消えたいか
いやいや 決して消えたくは
ない
猜疑にまみれた心が
偽証を見つけ出す
私は死にたいか
いやいや 決して死にたくは
(ピアニッシモ)ない
私は消えたいか
いやいや 決して消えたくは
(ピアニッシモ)ない
衰弱した意志が
打ち消しの語を霞ませていく
ないものではなく
あるものを数えたてよう
それが 生き延びるコツだ
私になにがあるか
腕ではなく 脚ではなく 口蓋ではなく 静脈ではない ものがある
私になにがあるか
金ではなく 職ではなく 時ではなく 愛ではない ものがある
外に出るたびに
ふと眼にとまる 小さきもの
人に接するたびに
ふと心をかすめる 柔らかなもの
それが最後の砦だ
自壊を食い止めるかすがいだ
否定によって肯定にたどり着く
神学のひそみにならった
ありふれた生活の歌
ひとりひとりの魂の詩篇
ほぐれていく
いつも間近にあった
寛解の足音が聞こえてくる
春の風が待ち遠しい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます