翼
鳥の
ある電信柱の初恋
その悲喜劇は、一口では語れない
昨日あそこにいた鳥は
鴉、
何者でもなかった
生まれでたばかりのような存在のアウラ
畜生の眼にも光背を焼きつける
その
もう思い煩うな
大工の息子が間に合わなくとも
もう思い煩うな
生焼けの救済が差し出されなくとも
螺旋階段に冬が来る
階梯の一段一段に楔が打ち込まれる
踊り場のトーテムに口笛が反響する
屑鉄のような抽象芸術がおまえを救わなくとも
言葉を守り抜きなさい
天蓋をいただく人々が共有するのは
血を震わせる囁きだけだから
鳥の喃語がすべりゆく
あるファンダメンタリストの嘆き
その悲喜劇は、一口では語れない
昨日あそこにいた鳥は
何者でもなかった
偽装された天使のようなそのアウラ
その勲
もう思い煩うな
預言者の約束がすべて反故にされても
もう思い煩うな
ふためと見られない罪が背を蝕んでも
螺旋階段に冬が来る
雪混じりの細雨が唇を湿らせる
微震する空気に福音が伝わってゆく
言葉を信じ抜きなさい
祭りを好む
予感に満ちた音楽だけだから
鳥の喃語がすべりゆく
ある展翅作家の睦み
その悲喜劇は、一口では語れない
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