お前新入りか?

「ねえねえ、お兄ちゃん! 」


目の前には黒で長髪の少女が、操縦席にいるであろう誰かの頭に後ろから抱きついていた。

その少女は下は灰色のズボンを着ていて、上は灰色の小袖を着ていて、腹に帯を締めていた。

なにやら柔道着を想像させるものがある。

そして、尻がでかい。

灰色のズボンを着ていてもわかるお尻のでかさは尋常ではない。

まったくけしらからん奴だ。(褒め言葉)


「やめろ! シャルル! 胸を押し付けるな!操縦しずれだろうが!!」


その声は凛々しさのある低音だったので、男だとわかったのだが、彼の言っていることが本当だとしたら、恨めしいことこの上ない。

おいそこ代われよお前。


「ええぇ、ヤダー」


少女は可愛らしい小悪魔ような声で駄々をこねる。

うーん、どうやらお邪魔らしい。

兄弟水入らずのラブラブな光景は思春期の俺には目に毒だ。

本当は妬ましいだけなんだけどなー。

だからこんな光景見たくないだけなんだけどなー

まあ、リータさんどこにいますか? くらいは聞いておこうと思って俺は少女に近づいて、


「あのぅ……」


と言って俺は少女の肩をそっと叩いた。

黒い髪の少女はこちらを振り返れば、つぶらな黒い瞳を持つ、小顔の美人だと言うことがわかった。何よりも、少女の胸にある仰々しい双丘は、この青臭い男春期男性の心を握りしめていた。

黒い髪の少女は俺を見て顔を青ざめ、ゆっくりと俺の瞳から俺に触られた右肩に目をやって、


「いやあああああああああああ!!ーーーー」

少女は驚いたのか絶叫して地べたに座ってしまった。

俺はびっくりして身動きが出来なくなった。心臓が裏返るかと思ってしまった。

少女は青ざめた顔をして、両手で彼女の肩を抑えていた。

ヤバい。

自分が何かしてはならないことをしてしまったことに気付く。

少女の瞳には涙がうるうるとして溜まっており、


「ぅぐうわあああああーーーーー」


少女の瞳は決壊を起こして涙が溢れ、涙が額から首へ滴り落ちて襟の中へ入っていった。

ヤバい、本当にどうしよう。

彼女が泣いて俺は茫然自失から焦燥へと変わり、まず側から見た絵面がヤバい。

加害者と被害者は一目瞭然だ。

操縦席に座っているお兄さんになんて言い訳をすればいいやら。

とりあえず彼女を慰めることを試みるようと近づこうとすると、


「ああ… お前新入りか? 」

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