アンデルセン=ヘラクレナ(八)
「君は何してるんだい?! 」
俺は小さい黒ローブに叱られていた。
「危ないじゃないか?! あの一撃が当たってたら君は死んでたんだぞ!!! 」
俺は小さい黒ローブに胸ぐらを掴まれた。
俺は黙認させてもらった。
黒ローブはそれを見兼ねて、
「まあ、いいや、時間がないんだ、それ返してもらうよ」
黒ローブは俺に手を差し出した。
「君はまだ使えこなせてない、そんな奴が持っているよりは僕が使った方がいい 」
確かにごもっとも意見だ。使えるわけがないものを使おうとしているのだ。
そう思われるのは当然だが、
「俺はお前よりも速くて正確な攻撃が出来るぞ」
「ハッタリかい? 」
「いいや」
そう、正確さに関しては保証できないが、速さだけはどの魔法よりも速いはずだ。
「お前、アンデルセンに近づくことさえ出来てないだろ? 俺だったらあいつの肩に弾をブチ込めるぞ 」
黒ローブは仮面の下から俺を見据えて、
「断る 」
「なんでだ!! 」
「信用出来ない」
そのあと少し睨み合ったあと黒ローブはため息をついた。
「でも君、僕が何言っても返してくれなさそうだね」
「ああ、当然だ 」
「分かった、チャンスは一回だけだよ 」
白仮面は仕方なさそうに言う。
「失敗したらその時点で交代? いい? 」
「いいぜ、望むところだ」
「今のうちに詠唱した方がいいよ」
「了解」
そう言われたので俺は詠唱しようとすると、黒ローブは「そうだ」と呟くと、
「それ、本物じゃないからね 」
俺を指差して言ったのだ。
「どういうことだ? 」
そう俺が聞き返すと、
「自分で考えなよ 」
そんな風に言ってそのあと口を聞いてくれなかった。
なんか面倒な奴だな、と思ったがそのことはあとで考えるとして、俺は目をつぶって詠唱することにした。
「口径9ミリ、全長6インチ、フルオートを可能とした自動小銃。 グロック18c 、インストール」
目を開けるとそこにはグロック18cがあった。正確にはその形をした炎と言うべきなのか、メラメラと燃え続け、俺の手のひらの中で、炎がまるで太陽のフレアのごとく銃のまわりを暴れ回っていた。
何故だかはわからないが不思議と熱くはなかった。さっき言った本物じゃないという奴だろうか。
「準備出来た?」
そう聞かれて俺は「いや、ちょっと待てといい」
弾倉を確認すると、やはり空だったので弾倉を込めようと想像する。弾1発1発を、手で弾倉に押し込めるように。
「よし出来た」
「出来たかい? それじゃ行くかな」
「オーケーだ、出来れば近めで頼むぜ 」
そう言った途端に俺たちは出口だろうか、黒い穴に吸い込まれた。
小屋に中へと飛び込んだ。
アンデルセンと目が合った。今気づいたが彼女は平然としているがどこか苦しそうだ。
「遅いのだあ、ど素人に魔術のレッスンでもしていたのだあ? 」
真下には骨の兵士達が今か今かと待っていた。
「僕がやる」
白仮面は下を見て言った。
多分、僕はこいつらを相手するから君はアンデルセンをぶち抜くことだけを考えろってことなんだろ。
俺は骸骨の兵士を踏み砕いて着地する。
左膝を屈して両手で銃を構え片方の目を眇めて銃の引き金を引く。
ダンッ!!
というその音だけで人を殺せるということがわかってしまうような射撃音。
射出された弾丸の形をした炎は虚空を捉えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます