アンデルセン=ヘラクレナ(七)
アンデルセンはふと、目の前の戦況よりも見入ってしまったものがある。
赤いブレスレットを右腕にはめた黒髪の少年である。
どうせ使えるわけがないのだあと、
無視しようと思ったら、メラメラと光る何かの形した炎を作り出したではないか。
アンデルセンはそれを見て戦慄が走ったのだ。何故だかはわからない。
指揮官の勘という奴かもしれない。
しかしながら、本来魔術に疎いはずの平民が、触っただけでその何か作り出せたというだけで、警戒するだけの価値はあるかもしれない。
指揮官は油断してはならない。
油断こと最大の敵。
その得体の知れない何かに引き寄せられ、アンデルセンは畏怖を抱いていた。
「巨兵! カミカジをやるのだあ!! 」
骨の巨人が白く巨大な拳でもって殴ろうとしている、
少年は目を瞑っているため身動きが出来ない。
これで不安定要素は消えた。
と思った途端である。
「危ない!! 」
そう言って小さい黒ローブが少年を担いでしまった。
粉塵が吹き荒れており、その間に二人は何処かへ消えてしまった。
「チッ! 亜空間にでも逃げたかあ! 」
そのあと白骨の巨人によってぶち開けられ天井の最も空高い場所にある星を眺めて言う。
「援軍はまだ来ないのかあ?! 」
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