この世界で生きる為に
赤毛の男はオーランドさんと言い、大男のアズルさんと魔法使いのハンナさんと共に冒険者をしているそうだ。
冒険者と言うのは冒険者ギルドと呼ばれる場所に所属しており、そのギルドから依頼を請け負って仕事をする。
仕事の内容は魔物退治や薬草採取など、様々あるらしい。
今回、オーランドさんたちはウルフ退治の依頼を受けていたそうだ。
依頼された数のウルフを倒したが、街に戻る途中で魔物の奇襲に遭い、そして俺たちに助けられたと言う話である。
「いや、本当に助かった。ありがとう」
「いえ、大事無くてよかったです」
俺とレナはオーランドさんたちと共にカランラと呼ばれる街に向かっていた。
「それにしてもアンタの格好は変わっているな」
「そうですか?」
「あぁ、この辺じゃ見ないな」
現在、俺は制服を着ている。
上は黒色の上着と白いワイシャツで下はグレーのズボンだ。
極々一般的な学生服と思うのだが、こちらの世界では珍しいと言うことらしい。
(あまり目立つのは良くないか)
俺はそう思いながら歩く。
既に森から整備された道へと出ていた。
「もしかしてアンタらも冒険者になるつもりなのか?」
「まあ、そんなところです」
怪しまれない様にする為、俺は肯定した。
「俺たちでも冒険者になれるでしょうか?」
「あぁ。アンタなら腕も立つし、良い冒険者になるだろうな……お前たちもそう思うだろ?」
「そうだな。きっと俺たち以上になるだろさ」
「そうね。私たち以上になるわね」
「……俺もそう思うが、言っていて悲しくなんねぇか?」
「「全然」」
オーランドさんががっくりと項垂れる。
彼らの話によると駆け出しの冒険者らしい。
そして、どうやら同じ村の出身のようだ。
「トウマ様、先程の話ですが……」
レナが俺に話し掛けて来た。
「怪しまれない為にそう答えたが、手に職をつけた方が良いと思っている」
「確かにそうですね」
現在無一文の俺たち。
金を稼ぐには働かなければならない。
身分証なんてないので、雇ってくれる場所を探すのは難しいと考える。
故に冒険者として働こうと思っていた。
(此処が異世界だとすれば、いつ戻れるかは解らないしな)
夢じゃなく異世界に来てしまった。
そうであれば、この世界で生きる為の基盤を作るべきだ。
現状、元の世界に戻る方法なんて解らないのだからな。
(まだ詳しく解っていないが、やはりレナの話に出て来た女神が重要なカギを握っているはずだ)
それについて彼女の問うのはまだしない。
街へ無事に到着し、一息してからにしようと思っていた。
サーヴァント×マスター エルシオン @hanagata321
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