出会い
魔物に襲われているのは二人の男と一人の女。
それぞれ剣に斧に杖を手にしていた。
パッと見だと手を貸さなくても問題なさそうに思えるが、彼らの表情は疲弊しきっている様に感じた。
「相手はウルフが五体にボアが二体ですね」
ボアと言うのは猪の様な生物のことだろう。
「どうしますか?」
「助けるぞ」
見て見ぬ振りをするのは目覚めが悪い。
故に助太刀することにした。
「まずは一つ……」
ボアに対してエックスキャリバーを構えて接近する。
同じく一体のウルフにレナが向かって行く。
先制攻撃でしかも不意打ちだ。
こちらを認識する前にそれぞれ標的を斬り伏せた。
「あ、アンタたちは!?」
「ただの通りすがりだ。加勢するが問題ないな?」
「あ、あぁ……助かる」
疲弊しているように見えたのはやはり気のせいじゃなかったらしい。
俺とレナの登場に三人ともホッとした顔を浮かべていた。
「トウマ様、あまり無茶なことはしないでくださいね?」
「そっちもな」
魔物たちは急に現れた俺とレナの方へと標的を変える。
最初にボアとウルフを一体ずつ倒し、残り五体。
「……来る!」
ボア一体とウルフ二体がレナに向かい、残りのウルフ二体がこちらに向かって来た。
どうやら俺よりも彼女の方が強いと思ったのだろう。
まあ、実際その通りなので何も言えないな。
「まずは一体目」
飛び掛かって来たウルフ一体目を縦に斬る。
「そして二体目」
次に襲って来たウルフを横に避け、それから胴体を上から下にブツ切りした。
「レナの方は……」
俺に向かって来た魔物を片付いた後、レナの方を見る。
どうやら彼女の方も片付いたらしく、近くにボアとウルフの死体が転がっていた。
「あ、アンタら強いな。おかげで助かったよ」
魔物に襲われていた三人。
その一人で剣を腰に差している赤毛の男が礼を言ってきた。
「怪我はないか?」
「アズル……俺の仲間が一人が負傷した」
「俺なら問題ない」
丸坊主で斧を背負っている大男が言う。
恐らくその人がアズルだと思われる。
左腕にひっかき傷があり、そこから血が出ていた。
「ごめん、魔力が尽きてなければ回復魔法で癒せるんだけど……」
今度は黒い帽子と黒いローブを纏った黒髪の女が言う。
彼女の言葉から察するに、魔法使いなの可能性が高い。
「薬草もポーションも底をつきたし、取り合えず応急処置をしておくか」
「ポーションなら持っています」
俺は魔法の鞄からポーションを取り出す。
そして、それを赤毛の男を手渡した。
「い、いいのか?」
「問題ない」
無料のガチャで手に入れた物である。
問題なんてないし、そもそもあればポーションを出していない。
「すまない」
手渡したポーションを持って赤毛の男は大男の方へ向かって行く。
「レナ、お前も使っておけ」
「いえ、私は問題ありませんが……」
「左手を見てみろ」
レナの左手から少しだけだが血が出ていた。
多分、攻撃を霞めたのだろう。
「これくらいなら支障はありません」
「いいから使え」
俺はレナにポーションを渡した。
「……ありがとうございます」
頬を赤らませながら礼を言うレナ。
大したことはしていないんだがな……まあいいか。
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