移動を開始

初めての戦闘を無事に終えた。

生物を殺めてしまったわけだが、罪悪感を感じなかった。

恐らく俺はそう言う人間なのかもしれない。


ちなみにだが、これは夢じゃないかもしれないと考え始めている。

簡潔に言えば何もかもがリアルすぎるのが理由だ。


「何にしても、此処に留まるのは得策じゃないか」


また何かが襲って来る可能性がある。

これが夢か否かは後で考えることにして、まず先に人里を探そうと考えた。


「シャーロット、人里が何処にあるかは解らないか?」


「すみません。一般的な常識と戦闘訓練は受けましたが、それ以外については何も解らないです」


「そうか」


さて、困ったな。

人里がある場所が解らずにいた。

ただ闇雲に歩いたところで見つかるとも思えない。

けど、だからと言って行動しない訳にもいかないか。


「取り合えず、東に向かうか」


「意義はありません。私はマスターに着いて行きます」


忠義と言う奴なのだろう。

だが、この場合に置いては他人任せのように聞こえる。


「そのマスターと言うのは辞めてくれないだろうか?」


「では、なんと呼べば良いのでしょうか?」


「普通に灯真で構わない」


「解りました。トウマ様」


「…………」


職業病。

そんな言葉が頭に浮かんだ。


・レナ・シャーロット

 真面目な性格の剣士。

 どんなことがあろうとマスターを守ろうとする。


彼女の説明を一部抜粋すると、そう言うことらしい。


(Girls Warriorの美少女ユニットが全員彼女みたいな性格だと苦労するな)


などと思い、俺は苦笑いした。


「トウマ様。私のこともレナとお呼びください」


「解った。それでは行くとするか、レナ」


「はい」


東に向かって歩き始めた俺とレナ。

それが吉と出るか凶と出るかは運次第だろう。


「出来れば誰か人に会えれば良いが……そう都合よく行くはずがないか」


「人じゃなく、先程の魔物とはすぐに遭いそうですね」


「魔物? 狼みたいな奴らもそうなのか?」


「はい。実物を見るのは初めてですが、先程の魔物はウルフと思われます」


そのまんまだな。

にしても、先程のレナの言葉で少し気になることあった。


「何でそんなことを知っているんだ?」


「トウマ様に召喚される前、私は女神様の元で修業をして来ました。その際にある程度の知識も会得したのです」


「女神の元で修業?」


「はい。私は……いえ、私たちは女神様によって生み出された存在なのです」


レナの話は結構重要なことだろう。

その女神について詳しく聞きたいところだが、それは後回しにしなければならない。


「マスター!」


「解ってる」


目の前に何者かが魔物らしき生物に襲われているのを目撃した。




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