第10話
「俺達をまとめて相手にするだと・・?? 随分と舐められたものだな。」
ガハハハハハハッ!! ウィルバルト達の姿を見た
おぉ・・! あれが
確かに他の
ウィルバルトが周りを取り囲む
「ガハハハハ!! 舐めているのはお前の方だ!!」
「たかが
「な、なんだと!? いや、それよりさっきからなんだお前は?!?!」
「見るところ後ろの人間は
「・・・そうだけど。」
・・・・・・ガハハハハハ!!!
胸を張るヴェストニアとその姿を冷めた目で見つめるウィルバルトを交互に視線を移した
「お、お前が
「な、何じゃ!! 失礼な奴だな!!」
「ひぃ、ひぃ・・。わ、分かった、もういい。」
「お前達、そいつらは好きにしていいぞ。俺は食事の続きをする。」
「ゲヘへへへ・・。人間の方は俺のもんだ! お前達にはそのチビの
「おい! 人間は俺のもんだぞ!! お前こそあっちの
ぎゃぁ、ぎゃぁ・・!!
うわぁ・・、口の中汚いな・・。
こんなところに入るくらいなら死んだ方がマシかもしれない。
ウィルバルトは迫ってくる
その光景を見つめていた周りの
でもこれはいい機会かも知れない。ヴェストニアの魔力の影響で、俺が今どの程度の力を持っているのか確かめるには絶好の相手だろう。
バチンッ!!!!
しかしウィルバルトは笑みを浮かべ、いとも簡単に自身の体を掴む
そのあまりに一瞬の出来事に、こちらに駆け寄ってきていた
「・・・・まじか。」
しかし一番驚いていたのは何を隠そう、ウィルバルト本人だった。
ウィルバルトは魔力検査の際に放った
「ほう、やるではないかウィルバルト!! 流石は私の相棒だな!!!」
「・・・・いやいやいや!! さっきの見てた?? ただのデコピンだよ? ただのデコピンが
ウィルバルトは地面に降り立つと、いつものように頭の上に飛び乗ってきたヴェストニアの顔を掴み、力いっぱい握りしめながら声を荒げる。
「ぐ、ぐるじい・・。」
「・・・あっ、ごめん。」
はぁ、はぁ・・。我に返ったウィルバルトが手を離すと、ヴェストニアはなんとか息を整えていく。
「・・ふぅ。しかしお前が驚くのも分かるぞ! 私もここまで魔力量が向上するとはおもっていなかったからな。」
「そ、そうなのか?? じゃぁ何でこんなに力が強くなっているんだ??」
「・・・・そうだな。」
ヴェストニアは再びウィルバルトの頭の上に移動すると、いつものように腕を組み考えた後答え始めた。
「恐らくだが、私がこの姿なのが原因かもしれん。」
「どういうことだ??」
「私はこの姿だと力も魔力も大きく制限されるからな。魔力を使うと言えばお前を掴み空を飛ぶ時くらいだ。」
「そうなると、有り余った私の魔力が必要以上にお前の中に流れ込んでしまうのかもしれん。まぁ、元々ウィルバルトは魔力が極端に少なかった。それらが重なり、これまで魔力に晒されてこなかった体がかなり強化されてしまっているのだろう。」
そ、そうだったのか・・・。
確かに以前の俺には魔力が殆ど無かった。他人に言われるのは少し癪だけどな・・・。
ウィルバルトとヴェストニアが同じように何度も頷いていると、ようやく気を取り直した
「・・・き、貴様!! 一体何をしたのだ!!!」
「えっ?? いやなにって、デコピン・・・」
「そんなわけがないだろう!! たかがその程度の攻撃で我らがやられるなど・・!!」
ガシャンッ!!
その衝撃で、その中に入れられていた人間達は悲鳴を上げながら次々と気絶していく。
な、なんてことを・・!!
早く手当てしないと・・!!!
「お前達! もう手加減なんてするんじゃねぇぞ!! 一斉にこいつらに襲い掛かり、俺達に歯向かったことを後悔させてやれ!!」
グァァァァァァァ!!!
「ウィルバルト!! 後ろじゃ!!!」
「ああ、分かってる、よっ!!!」
バキッ!!! ウィルバルトは空中に飛びあがり背後からの攻撃を避けると、洞窟の天井を勢いよく蹴り、
その攻撃を受けた
「・・ッ!!!!!」
ウィルバルトの人間離れした動きを目にした
よし・・! こいつらビビり始めてるな。
流石に数も多いからな、これ以上戦うのは正直疲れる・・。
ウィルバルトは、小さく息を吸うと、周りの
「お前達! ここから立ち去り、二度と人間に危害を加えないというなら、俺はこれ以上お前らに手は出さない。」
「どうだ、悪い話じゃないだろう??」
ザワザワッ・・・。ウィルバルトの思いがけない提案にお互いの顔を見合わせ声を上げ始めるが、背後でその話を聞いていた
「人間風情が、
「お前達!! これ以上舐めた真似をさせるな!! 避ける隙間がないほど同時に攻撃を加えろ!!!」
・・・・グォォォォォォ!!!
その言葉に
「・・・ちっ。やっぱりだめか。」
俺としては、
ウィルバルトが迫ってくる
「ふぅ・・。おいウィルバルト! 確か私の正体は人間にバレたらマズいんじゃったな??」
「・・あ、ああ。でもここにも捕えられている人達が・・」
あっ、全員気絶してるのか・・。
てか、もしかしてあいつ・・!!
「では後は私が引き受けてやろう・・。」
「光栄に思うがよい
「・・・この破壊竜 ヴェストニア様にな!!」
ブォォォォォォォ!!!
ウィルバルトがヴェストニアの考えていることに気づいた瞬間、辺りに突風が吹き荒れると、先ほどまでの可愛らしい風貌ではない、神殺しと恐れられた破壊竜ヴェストニアが姿を現した。
その身体はこの大洞窟の高い天井まで到達しそうなほどの巨体であり、その姿を目にした
「ま、ま、まさか・・!! いや、あり得ない!! なんでこんなところにあのヴェストニアがいるんだ!!!」
「ガハハハハハハ!! その通り、私の名はヴェストニアだ。」
「・・・どうした? 先ほどまでの威勢はどこにいったのだ??」
ゴクリッ・・・。 自身の目の前まで顔を下ろしたヴェストニアの姿に、
な、なんでこんな化け物がここにいるんだ・・!!
くそっ!! こんなことなら人里なんかに降りてくるんじゃなかった・・・、はっ!!。
「・・お、俺が悪かった。もう二度と人間には手を出さない。だからどうか・・・」
「・・・私に謝っても仕方ないであろう。それにお前は人間を殺し過ぎだ・・。最早許される域を超えておる。」
「今度生まれ変わった時に、悔い改めるのだな。」
「・・・竜の息吹(ドラゴン・ブレス)。」
グァァァァァァァ!!!!
ヴェストニアが話し終え、震える
「・・・これで少しは食われた人間達もうかばれるであろう。」
ヒュゥゥゥゥゥ・・。
ヴェストニアは
「・・・お前、本当はいい奴なんだな。」
「う、うるさいぞ!! ほら、手加減してやったからな、捕らわれている人間達は無事だ。彼らを連れて早く戻るんじゃ!!」
破壊竜ヴェストニアか・・。
もしかしたら、そう言われる原因になった神殺し。それも何か理由があったのかもしれないな・・。
ハハハハハハッ!! ウィルバルトは頭の上で顔を赤らめるヴェストニアに笑い声を上げると、気絶している人達の元へと足を進めていった。
━ DRAGON KNIGHT ━ 落ちこぼれ竜騎士見習い、なりゆきできまぐれ最強竜と契約してしまう。 @peroronpe
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