番外編-下完
いつか彼が他の誰かに取られてしまうんじゃないかとわたしは焦った。
わたしも可愛ければいいのにと何度も思った。
でも杞憂だったんだ。
隣のクラスに容姿端麗の少しキツメの女子がいた。彼女は彼を見て一目惚れしたと言って騒いでいたことがある。
「ちょっとあんた、柴田くんに馴れ馴れしいのよ」
だって彼女だもんなんて言える根性はその頃のわたしにはなかった。
「だって....友達だもん」
そう言っていると。無表情の彼がタイミング悪く廊下に出てきた。
「それどういう意味」
あ....やばい。
とても怒っていらっしゃる。わたしは急にモジモジしだした女子生徒を白い目で見た。
「柴田く~ん!あ...えっとあんまり児玉さんと仲良いからどうしてかな~て」
正直、猫被った彼女にドン引きした。
「何でって、裸の付き合いだし」
いやぁああああああ!?
何かとんでもないことを口走り始めた彼を止められなかった。
そうだ、彼は変態だった。
彼女は口をパクパクして固まった。
「俺の彼女、休み時間も取らないでよ」
その日から、公認のカップルとして一ヶ月の高校ライフを終わらせた。
大学に入ると同居しだして、婚約もした。
そう結局変態で、変わった彼を好きなのはずっと変わらないことであるのだ。
彼は言った。
もう一度入れ替わるのなら君じゃなきゃダメだ。
もう一度とか勘弁してほしい。
(本当に完)
透明人間と入れ替わりまして 313 @313satomi
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