番外編-上
彼がまだ透明人間の頃、わたしは彼と入れ替わった。
そう透明人間の柴田秋くんである。それがきっかけで彼と話すようになった。
友達も先生も驚いていた。
やめた方がいいと言ってくる人は大体が入れ替わり期間にわたしを見てはコソコソ話す人ばかりであったのだ。
だから気にせず相手をした。
そしてあるきっかけでもとどうりになった。彼の顔が見えるようになったのだ。
イケメンだった。
スッと整った顔は無表情でも綺麗だった。そんなことを言うと彼に笑われた。
児玉さんは可愛いよと言われた。
嬉しいけど恥ずかしい、やめて。
きっと彼は顔認定音痴だ。そう思う。
しかしこれは中学ではモテると言ったのは本当のことだろう。
そんな彼とまさか恋人になるとは思ってもいなかったが。
そしてそうたたない頃の話だ。
イケメンが転校してきたぞと噂が流れた。いや、それAさんこと秋くんなんだけど。
東校で二番目くらいに顔がいいと。誰が言い出したかは知らない。
突然に腕、胴体、脚、顔が見えるようになったのは高校を卒業するくらいのことだった。
だから、最後だからとバレンタインは凄い数のチョコを机に置き去りにされて困っていたので。
ゴミ箱に向かおうとする彼を止めて。準備していた手提げ袋を彼に渡した。
一番今日これが嬉しいと言われたので。
微妙な顔で彼にしょっぱい焼き菓子を渡した。
甘いものを苦手なことくらい知ってたから。
「気が利くね。そこが好き」
嬉しい言葉ばかりをくれるようになった。
でも他人(ひと)前では止めてほしい。
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