ピンク PINK【桃色】
ただ倦怠感の中で私は半分裸で毛布の中にくるまっていた。その皮膚はやわらかく、どこまでも沈み形を変えそうに思えた。自分が女であることがこんなに当たり前になったのはいつの頃からか。何をどうしても、私は男ではないと、男と出会うたび、そう感じるようになってきた。嫌でも生理がきて、嫌でも女なのだった。
私はきのうの夜の出来事が整理できなかった。
正確にいうのなら、出来事はおかしくはないのだった。私は記憶が呼び起こされた。そのことと、現実が交差して混乱した。記憶はやはり、今は意識して思い出さないようにしているのだった。
ピンクのなわとび。
ただ、そのことで、私はピンク色を長時間その後見れなくなった。
なぜ、私の使っていたなわとびだったのか。
もしかして、母が使いたがったのか。
大ざっぱに考えても、その場面は閉ざされていた。それは、幼い私には後に鮮明な印象を残すほどの突き刺さるイメージだった。言葉では表現できないのだ。
はだけた姿でだらだらと私はそんなことをただぼんやり考えていた。
岸本さんに、今は会いたいとは思わなかった。誰かに会いたいと今は思わなかった。
私の体験したことは、笑い話に人によってはできるほどのことなのだろう。わかっていた。
自分の感受性、心の問題であると。
アウモエ aumoe【真夜中】 容子 @1404kiki
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