カースト制・現代コミュニケーション

第1話

コミュ力とは、攻撃力だ。

どれだけ相手に大きな傷をつけられるかを示すことが、所属するグループで権力を持つ上で重要なのだ。

教室では各々が配られた大小様々な武器を手に睨み合ってカーストを作り上げる。

クラスの人気者は、刃渡り1m超の「いじり」であちこち切りつけて中心人物の座につく。そしてたまに不用心に人を切り殺す。

顔が良かったり、金持ちは生まれながらに銃を配られているから、ちらつかせれば制圧完了。

小さな剃刀しか渡されなかった私は、一生懸命に自分を傷だらけにして見せて回る。「自虐」の名の下、"人"の身体に痕を刻めるのだぞ、示威。

なにも持たない百姓たちは、部屋の片隅で真ん中から飛んでくる無神経なかまいたちに耳をそぎ落とされた。

私はこうはなりたくないと必死に道化を演じて「自虐」をする。どうせどちらも、などと言う内声をなかったことにして

現代の教室は未だ個性という名の凶器を手放せない刀社会。

強い者が刀を振り回し、弱い者は血で媚びへつらう

バランスなどとうに崩壊しており、居場所を見つけられなかったはぐれ者たちは迫害対象だ

私のような人間たちが、いつかその小さな小さな獲物でチクリ、チクリと他人を傷つけてしまうことを恐れている