人間

それ

第1話 ダレトク

『人間』

個性を持った人物に認められる特定の属性を持った存在を指す抽象的用語。

※余談である。


私は人間ではない。


私は今重たい物を二つ持っている。


一個はフェイト。すなわち宿命。

これがものすごくめんどくさい。


正直言うと、私はサイズが小さい。

どのくらい小さいかっていうとものすごく小さい。人間の…そうね…10分の1ぐらい。


今は2019年。現代である。

人間はムカつくのだ。


私の同胞は人間に殺された。

というか人間だけが我々を退治できる。

マジむかつく。


しかし人間は我々のことを知らない。

我々は人間のことをよく知っている。


我々はファンタジーな存在なのだ。


今私は道にいる。

どんな道か。ドラえもんの世界みたいな道。


分かります?進行方向から見て右手も左手もしばしば家が立ち並んでるあの感じ。


そのその端っこの方で立て掛けられてるトタンの中。じっとある人物を見つめている。

これは極めて危険な行為である。


棒人間。と聞いて思い浮かぶのは皆大体一緒じゃない?その棒人間にほんのちょっと肉付け。真っ黒。目が二つ。目だけが白。そらもう真っ白。言っても例えるなら棒人間だから細い。


頭は大きめ、体はスリムである。

腕は少し長い。己の見た目は嫌いじゃない。


理屈ではない。生物なのか現象なのか、はたまた妖怪の類いなのか。


私は人間に見つかると死んでしまう。


崩れ落ちるようにパシャっと逝く。

見つけた人間の記憶には残らない。


理屈じゃないんだよ。事実そうなんだから。













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