第45話:父の死と葬儀
葬儀の形式、費用は、パンフレットを見て決めて、父の亡骸を国立の家に移送しする手配をしてもらい、1時間後に実家に戻った。その後、達夫が近所に住む親戚20人に葬儀の日程を連絡した。
夢子は、新潟には、葬式に参列する人がいないと、静かに言った。「妻有の里」の広瀬社長にも、電話を入れた。お通夜を国立の実家で1月16日午後16:30から開始する様に連絡し1月17日午前10時から立川斎場で告別式を行う事になった。
1月16日は、近所の人が15人やってきて、生前の話をしてくれ、親戚の人と葬儀の際のお花の順番を決めた。実家に泊まる人が5人おり、お風呂の用意をして、休んでいただいた。翌、1月17日はみぞれ模様であったが、明るくなる頃には、やんで、道にも雪はなく安心した。
「妻有の里」からハイエースで、広瀬社長に来ていただき、達夫のハイエースと、参列者の車で全員を乗せて、立川斎場へ向かい告別式の手伝いに「妻有の里」から若者2人とパートの女性3人の計5人が来てくれ、受付や礼状、返礼品を渡すのをお願いした。葬儀の精進落としも済ませて12人が、お墓へついて行ってくれ、無事、葬儀を終えた。
帰り際に、達夫と夢子が「妻有の里」の社長にお礼を言って滞りなく葬儀を終えた。葬儀を終えて、母、明美さんと実家に帰ると、今日は、ここに泊まっていってくれと言うので、了解すると、安心したのか居眠りを始めたので、布団を引いて寝てもらい、軽く食事をして、風呂を沸かして入った。
1時間を過ぎた頃、母が目覚めて、もう、お父さんはいないんだよねと、小さくつぶやき、観念したように、年だからしょうが無いよねといい、私も、早く、お父さんの元へ行きたいよ言った。そして母が戸棚から大事そうに一通の封筒を出して、達夫に渡した。そこには、父の書いた手紙が入っており読んでみると、私は達夫が銀行を退職してから、新しい事業を始めて苦労してる姿をみている。そこで、もし私が死んだら、母の老後をお願いしますと書いてあった。
祖父のお陰で大きな財産をいただいたが、私たちには、そんな大金は必要ないので、母の分として1億円を残して残りの分を、達夫と夢子さんにわたすと書いてあった。そのかわり、母を介護老人ホームに入れて、大事にし、できるだけ面会に来て面倒みてやってくれと書いてある遺言書だった。
その手紙を読んだ後、達夫がわかったよ、俺が母を大切にするから心配するなと抱き寄せると、母、明美も、夢子も大泣きするので、達夫ももらい泣きした。そうして、その晩は、父の昔話をして寝た。
翌1月18日に、立川近郊の介護老人ホームを探すと、大手企業の介護老人ホームが見つかり、母を連れて行くと、綺麗な施設で気に入ってくれ、ここに入所するのを了解してくれた。ちょと笑いながら、高そうだけれで大丈夫かと言うので心配しないでと言い、入所の手続きをした。
ここなら、家から車で15分位で着くからできるだけ顔を出すよと言い別れた。その後、色々世話になった「妻有の里の」広瀬社長と皆さんに、達夫と夢子がお礼を言いに立ち寄った。すると社長の広瀬政夫さんが達夫に、また頑張っていきましょうと握手をしてくれ、協力を約束してくれた。
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