第11話:夢子と達夫の同棲
彼女が、「本当に、ここに住まわせてもらって、大丈夫なの」と、心配そうに言った。父が、言った様に、「離れは、俺の家だから大丈夫、当面、給料少ないだろうから、住居費はいらない」と伝えた。「そんなの悪いわ」と言う声を遮るように、「俺の好きなようにするから大丈夫だ」と言った。
ところで、「明日は、立川のお店に顔を出すのかと聞くと、もちろん行きます」と言うので、「客として、ついていって構わないか」と聞くと、「もちろん、お客さんは、大歓迎です」と笑った。戸棚からウイスキーと冷蔵庫の氷と水をだして、水割りを2つ作り、飲めよと、差し出した。達夫は緊張をほぐすかのように、水割りを美味しそうに飲んだ。夢子も同じ様に、ゆっくり水割りを飲んだ。
そうして2-30分話をして、達夫は、寝息を立てて、寝てしまい、夢子も、直ぐに、眠りに落ちた。翌朝7時半に起きて、備え付けの洗面所で顔を洗い、彼女も、洗顔、化粧をして、8時前に、本宅へ向かった。おはようございますと、夢子と達夫が、言い、両親も、おはようと答えてくれた。朝はトーストですが、大丈夫と、母が夢子さんに聞くと、もちろんですと答え、珈琲とトースト、目玉焼きにサラダを出してきた。朝食を終えた後、夢子さんが母に、今日は、立川の妻有の里(新潟料理の店)に出かけて、夜9時過ぎの夜行列車で新潟に帰りますと話した。母が、そりゃ、大変だねと言った。
達夫が、俺、送ってくるからと、ぼそっと言った。気をつけてねと母が言ってくれた。駅までの道すがら、夢子さんが、優しそうな、ご両親ですねといってくれた。達夫は、いや、意外とケチで扱いにくいよと笑って答えた。立川は1つ先の駅で数分で着いた。
自転車でも10分あれば、着くよと言い、家の納屋に使ってない自転車があるはずだから、整備すれば使えると思うよと言った。着いて、店の前に行くと、11時オープンと書いてあったので、達夫が時間をつぶして、12時過ぎに昼食を食べに行くと言い、何時頃までいるつもりと言うと、昼の営業が1時半迄だから、その後、話を聞いて14時には店を出るつもりだと言ったので、うまく、近くで時間つぶして、上野まで送るよと言った。
達夫は、立川に来るのは久しぶりで、駅ビルの本屋に入り、本を立ち読みして、面白そうな文庫本を買って、近くの喫茶店に入った。珈琲を飲みながら2時間足らずで一気に読み終えて、店を出ると12時になっていた。
10分程で夢子さんが勤める立川の妻有の里(新潟料理の店)について暖簾をくぐると夢子さんが、いらっしゃいませと言い、すぐ、注文をとりきた。達夫がわざとらしく、おすすめはと聞くと、へぎ蕎麦は、いかがですかと言うので注文した。少しして、多めの緑がかった麺の蕎麦と天ぷらがついて豪華だった。へぎ蕎麦をたべると、蕎麦独特の風味と言うよりも、もっとつるっとした感じで、ほのかに海藻の香りがした。
暖かい蕎麦つゆに、エビ天を入れて食べると、うまい。サラッとして食べやすかった。店には、6人の人が働いていた。4人掛けのテーブルが10個あるが、ゆったりと配置してあり、お客が増えれば、多分15個程度まで増やせそうだった。昼過ぎに入ったが、店を出る13時前には、ほぼ満席となっていた。お勘定と言うと、天ぷら付き・へぎ蕎麦セット、700円ですと言われ、支払った。まー妥当な値段といった感じがした。
達夫は店を出るとき、夢子さんに、14時頃に、また来るからと、耳打ちして店を後にした。また、本屋に行って、面白そうな本を探していると、いつの間にか、時間となって、夢子さんのいる店へ向かい、14時に、店から出てくる彼女と一緒に、中央線で東京駅に向かい、乗り換えて上野駅へ着いた。まだ時間がたっぷりあるので、前回と同じ、モーテルに入り、ゆっくりと今後の話をして、たっぷりと逢瀬を楽しんだ。
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