第8話:夢子の東京見物2
翌朝8時に起きて、朝食をとり、帰りの予定を聞くと、帰りが21時40分の夜行列車で新潟に帰ると言った。「今日は、横浜に行きたい」と言うので、国立駅から中央線快速で新宿へ、そこから山手線で渋谷へ、東横線特急に乗り換え、桜木町へ、駅前からバスに乗り換え、マリンタワー、氷川丸、山下公園を散歩し、横浜港を見て歩いた。
夢子が、「東京に比べて、ゆったりとしていて、こっちの方が良い」と言い、山下公園から海の景色を眺めた。昼食は横浜中華街へ行こうと歩いて10分の同発菜館に入り、ランチを注文、料理が出てくると、見た目も、美しい中華料理を美味しくいただいだ。その後、徒歩10分、元町の素敵な店をウインドウ・ショッピングして回った。、繁華街も、東京より、ゆったりして、断然こっちの方が良いと言った。元町で、土産用のおしゃれ小物を買って喜んでくれた。途中、ポンパドールで土産用に、フランスパンと菓子パンを買ってあげた。
最後に、坂道を上がった所にある外人墓地を散策し、海の見える丘公園からの景色を見て、素晴らしいと言ってくれた。歩いて15分の石川町駅から横浜駅を経由し、上野についた。ラーメン屋に入り、夕食をとり、、どっかでゆっくりするかというと言い、近くの喫茶店に入り、21時40分の夜汽車を待った。
喫茶店で、夢子さんに、将来どうしたいのか聞くと、まず、何とかして、新潟の田舎から、出たいと言い、首都圏で暮らしたい。何をして生活をするのかと聞くと、料理が得意だから、レストランか喫茶店で働きたいと言った。
それに対して、安田は、飲食業なんて、労働時間が長く給料が安い、ましてやアパートも高くてとてもじゃないけど、生活していけないと現実的な話をした。それに第一、俺自身も東京のあくせくした雰囲気にはついて行くのが大変で、田舎から出て来て、すぐ、この雰囲気には、ついていけないと言った。
すると、彼女が、横浜はどうなのと聞くと、情報が無いからよく知らないが、家賃は高いと思うよと言った。ただ言えるのは、真っ当に、就職活動をして正規社員として、世の中に出ないと都会では金がかかるのでやっていけないと言った。それに対して、彼女は、地方の商業高校出身の私には、正規に大企業に入れるわけないと泣いた。
でも、絶対に、田舎で、無駄に年をとっていくのは、嫌だと、きっぱりと言った。興奮して、涙を浮かべていたが、少し、落ち着いて、安田に、「じゃー、結婚してくれる」と聞いてきたのには驚いた。「そんなに、急に言われても、俺自身、高卒で地元の銀行に勤めるしがない銀行員であり、そんなに金も無い」。「第一、急いで、結婚する気にもなれない」と言った。
すると、「私のこと嫌いなんだと彼女が泣き出した」。「いや違う、好きだよ、でも好き嫌いと、結婚する、しないとは本質的に違うんだ」と言った。「結婚するというのは奥さんに対して、また生まれてくるだろう子供に対して責任を負わなければならない義務があるんだ」。「その義務を果たせるかと言われれば自信がないんだ」と小さな声で話した。
彼女が、「私、頭の悪いから、むずかしい話は良くわからないけど、田舎から出たい、多分、近いうちに、きっと出てくると思う」と言い、「その時には相談にのってと言ったので、相談にはのるけど、結婚できるかどうかは、わかんないよ」と言うと、「それでも良い、都会に出て困った時に、助けてくれればそれで良い」と強がって言った。
安田が「できるだけ協力する」と約束し、夢子さんが、「あー良かったと言い、ほっとした笑顔に変わった」。
すると、さっきまでの泣き顔から一変して「新潟に帰って、頑張って金を貯めて、近いうちに首都圏に出てくる、その時には相談にのってくれるわね」と言うと、「絶対に、約束する」と答えると、「指切りげんまんをさせられた。指切った」と言うと、「これで、安心した」と言って、改札口を抜け、足早に階段を昇っていった。「また来るから宜しくねー」と、笑顔で、去って行った。
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