第2話:一橋大学の受験に失敗1
高校2年の夏に、大学をどこにするか決める時に、両親は、月謝の安い、国立・公立大学に入る様に言ってきた。 現在、国立高校で、学年で10番目位の成績で、ちょっと、見栄を張って一橋大学を受験すると言ってしまい、そのため両親や家族達が期待を持ち、引っ込みがつかなくなった。
実際には一橋大学の合格確率70%程度と微妙なところだったが、何とかなるさと、持ち前の楽天家魂で、あまり深く考えなかった。やがて1969年が終わり大学受験の1970年を迎えた。そして一橋大学の経済学部の受験志願書を提出して、受験日を迎えた。
特に、それほど緊張することもなく、笑顔で家を出て、受験会場に着くと、メガネをかけた賢そうな連中を見て、内心びびった。試験が始まり思ったより難しい問題が多く、答案用紙を書き終わるのに予想以上に時間がかかってしまい、あせったために、全部の見直しができない所で終了のベルがなった。まずい展開に、冷や汗が出た。
4日後の合格発表に出かけたが、受験番号がなく、不合格だった。その結果を見、両親と祖父が働くしかないなと、話した。えー私立大学を受けさせてくれないの聞く
と、もったいないと言った。一瞬耳を疑ったが、両親と祖父も高い月謝払って、私立大学に入り、勉強しても、しかたがないと言った。
お前の珠算3段の腕前を昔世話した銀行の部長に、口聞いてやると祖父が、どこかへ電話した。達夫は、こいつら、想像以上のドケチだと、むっとしたが、まー稼いだ方が、良いかと開き直った。その後、祖父の安田清が、孫の達夫に、何か卒業祝いとして送ろうと思っているので、直ぐ野村證券に口座を開けと言われ、祖父と共にハンコ持って証券口座開きに出かけた。
その日に100万円を入金してくれた。数日後の1970年12月4日に90万円でソニ-を2000株買ってくれ残金が10万円となり、これが卒業祝いだと言った。
その数日後、祖父の安田清が、三井銀行のメガネかけて、高そうなスーツを着た紳士を連れてきて、紹介した。彼は、昔、いろいろ世話した男だと紹介した。その彼が、都立国立高校ですかと言い成績表と免状を見せて下さいと言うので渡すと、成績は、なかなか良いですねと言った。全国珠算教育連盟2段、全国珠算学校連盟3段の免状見て、そろばん3段とは、すごいんですねと言い、と言う事は暗算も得意ですねと聞き直すので、暗算が一番得意ですと言った。
すると、カバンから伝票を出して、試験して良いですかと聞いたので、了解した。直ぐに、読み上げ算を始めた。5回テストして全問正解すると腕前はすごいと誉めてくれた。祖父の安田治が、すごいじゃろ、採用したら3人前、いや5人前の仕事をしますよと笑った。
わかりました明日の午後2時に三井銀行・日本橋支店に来て下さいと言われ、最終面接に合格すれば採用しますと言った。すると祖父が、あんたの顔で採用して下さいと、ごねた。いやそれはできません、最終面接だけは受けてもらいますときっぱりと言った。
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