推理する泥棒

作者 池田 蕉陽

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★★ Very Good!!

泥棒である男がアパートへ盗みに入ろうとしたタイミングで目的の部屋の住民とすれ違い、侵入するタイミングを考え
部屋に入ったら今度はその家の女の子と出会ってしまい、どう切り抜けるかを考える。
ただ盗みに入るだけなのに、その行動ひとつひとつが見えない相手と戦っているようだった。

また、一文が短い文章が淡々と続くが、これが最後の結末をより引き締めていることと思う。
とんとんっ、と読んでいった最後にくるっと世界が変わり、「ああそうか」と感じさせてくれるのが非常に心地よかった。

★★★ Excellent!!!

泥棒稼業に精を出すサラリーマンがいた。ただし欲しいのは金や物ではなく、スリル。それを求めて彼は目をつけていたアパートの一室に忍び込み、女の他殺死体と、彼女の娘である盲目の少女を発見する。
彼は少女を騙すために警察官を名乗り、本物の警察が来るまでの間、女の死の理由を探ることとなった。

探偵役は泥棒。情報源は小さな女の子だけ。タイムリミットはあとわずか。
そんな設定で開始する推理ものですが、舞台の作り方がうまいですねぇ。下手に逃げれば女の子の口から警察に伝えられるかも――という逃げ道のなさが、後ろ暗い主人公を自然に探偵として仕立て上げてるんですよ。

しかもその立場が女の子との交流の中でも生かされてて、苦いんだけど甘みもしっかり感じさせるドラマを実現してます。
さらには最後のオチで、それまで積み上げてきたものを全部ひっくり返す構成。短編ミステリの醍醐味はこれですね!

さらっと読めて鮮烈な読後感が得られる一作です。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)