頭のストレッチ:「人の価値」その1

思考問題でこういうものがある。「目の前に船がある。仮に船の名前をXとおく。さて、この船は造ってから年月が経っているため、パーツを少しずつ新しいものに置き換えていくことになった。まず1パーツ目を交換した。この時点でこの船はXではない、という人は少ないだろう。、しかし組み換えていくうちにほとんどが新しいパーツになった。ではこの船はXであるか?。おそらく一度に組み換えると抵抗もある人がいるかもしれないが、10年という歳月の間に徐々に、であれば抵抗はかなり減るだろう。では問題。最後に全部のパーツを組み換えて、あなたがほっとしていると、別の人があることに気が付いた。なんと今まで交換して取り外していたパーツが全部保管されていたのである。では保管パーツを使って船を組み立てなおした場合、Xと呼べる船はどちらか?」これは思考問題なのでまだ構わない。これと同じことをある事柄で考えると恐ろしいことになる。


「社会は個人の集まりで成り立っている」。これは普通であれば「だから個人は尊重されなければならない」と続くのだが、別の方向に行ってみよう。「社会は個人というパーツで構成されている」かつ「ある個人が生まれる前にも社会は存在した」。よって「社会+ある個人 = 社会」よって「ある個人 = 0」。これを否定したくなるが、否定するとするで困った問題が出てくる。否定するには「以前の社会」と「今の社会」に分類を分けるべきで、そうすれば解決と思ったかもしれない。ただ、こうすると「個人の価値には差があり、それで社会的に区別されるべき」という、社会への貢献度で人間の価値を決めることになるか、「どんな人助けをする聖人でも、狂った人殺しでも一律の同じ値」という、人間の平等性のかけらもない選択肢か、納得しがたい選択肢か、という二択である。さて、どうしたものか・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人間用デバッガー 深井 考助 @ether

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ