「人」とは何かを正確に定義できる人は少ないように思う。かくいう私もいまだに定義できずにいる。あえて言うなら無知の知な分先んじてはいるかもしれない。ただその程度である。今更「人」の定義で迷うのか、と思われるかもしれないが、では自信のある方は答えていただきたい。「ホモ・サピエンスであること」が科学的な答えだろう。一部の人は「神が作った特別な存在」と答えるかもしれない。他にもいろいろ有るだろう。ただこれらの回答は不完全であるともいえる。例えば「ホモ・サピエンス」である、という定義だが、では「ネアンデルタール人」はどうなるのか、という課題が出てくる。違うと言えば、現在生きているネアンデルタール人の血が混じった人々を「一部人間でない」と否定することになるし、かといって含めれば、サルとの明確な線引きができなくなる。では「神が作った特別な存在」という回答はどうか。これも不完全である。もしこれを全面的に認めてしまうと、犯罪すら防げなくなる。例えば隣にいた人がこう言ったとしよう。「私は神が新たに作られた人間より高位の存在だ。だからあなたから金を巻き上げようが、殺そうが自由だ。人間ではなくそれより高位の存在であるのだから、人間の国の法律に従う義理もない」。普通はおかしいと思うだろうが、「神が作った特別な存在」という論理的に証明できないものを絶対基準におくと「人間より高位の存在」というのを論理的に否定できない。他にも回答は挙げられるだろうが、一度自分で反論してみると面白いかもしれない。さて「人」を正確に定義することは可能なのか・・・