時は流れる

第1話

無音というのが耐えられない。

なので、テレビをつけている。

ＣＤでもいいが、入れ替えが面倒くさい。

なので、テレビをつける。

時は確実に流れている。

テレビをつけた。

横綱が引退会見をしている。

涙を流しながら、インタビューに答えている。

おそらく、これまでの相撲人生が走馬灯のように、頭をよぎっているのだろう。

「お疲れ様。しばらく休んで、立派な力士を育てて下さい」

チャンネルを変える。

プロ野球がやっている。

最近は地上波での放送は少ないが、地元のためか・・・

でも、どちらも今シーズンの優勝は無理。

でも、来シーズンにつなげる意味でも、がんばってほしい。

チャンネルを変える。

ドラマの再放送だ。

かなり前のドラマだ。

今はもう、ベテランになっているが、みんな初々しい。

それに、時代を感じる。

学園ドラマだが、女子高生のスカートが長い。

今の時代に生れてよかったと、しみじみ思う。

チャンネルを変える。

アニメをやっている。

子供の頃に見ていたアニメだ。

「あっ、これ、続きがずっと気になってたんだ。

犯人は、こいつだったのか・・・」

すっきりした。

チャンネルを変える。

鉄道の番組のようだ。

なになに？「さようなら１６５系」

さよならということは、まだ走っていたのか・・・

しぶとい奴め・・・

さてと、そろそろご飯の用意をするか・・・

テレビは付けておこう。

時間は確実に流れている。

幸か不幸か・・・

神様は時間だけは、平等に与えている。