杜弼③ブッ飛びメチャ左遷。
地味ーな感じで来た
徐々に時代の真ん中に近づきます。
とはいえ、
一筋縄ではいかないのですけども。
▼
普泰中、
吏曹下訪守令尤異、
弼已代還、
東萊太守王昕以弼應訪。
普泰中、
吏曹は下りて守令を訪ねて異を尤め、
弼は已に代還するに、
東萊太守の王昕は弼を以て應に訪ぬべしとせり。
▲
時は
この頃には
ついでに棟梁の
爾朱兵団は一族の
これは単なる脳筋に過ぎないのですけど。
朝廷はようやく体裁を繕えるようになり、
この時、
杜弼は任期を終えていたクサイ。
どこにいたかは不明。
苻秦の王猛の九世孫。
オマエ、ホントどこにでも出てくるよなあ。
吏部の官僚の訪問を受けた王昕さん、
なぜか「杜弼の話を聞くといいよ」
などとのたまってしまいます。
これは要するに、
「今は安定しているけどそれは杜弼の手柄だよ」
という杜弼推しなわけでありますね。
任務に忠実な杜弼は高く評価されていたのでしょう。
▼
弼父在鄉、為賊所害、弼行喪六年。
以常調除御史、加前將軍、太中大夫、領內正字。
臺中彈奏、皆弼所為。
諸御史出使所上文簿、委弼覆察、
然後施行。
弼の父は鄉に在りて賊の害するところと為り、
弼は喪を行うこと六年たり。
常調を以て御史に除せられ、
前將軍、太中大夫を加えられ、內正字を領せり。
臺中の彈奏、皆な弼の為すところなり。
諸々の御史の出使して上るところの文簿は、
弼に覆察を委ね、然る後に施行せり。
▲
無官となった杜弼ですが、
お家に不幸がありました。
おそらく六鎮の乱の余波で
父親が殺されてしまいます。
六年ほど喪に服した後、
普泰元年(531)から六年とすると
東魏の
諸事情よりこれはないので、
杜弼の喪に服した期間は
天平四年(536)まででしょう。
喪が明けてからは
弾劾を取りしきるなど活躍します。
しかし、
それも長くはつづかないのですね。
▼
遷中軍將軍、北豫州驃騎大將軍府司馬。
未之官、儀同竇泰總戎西伐、
詔弼為泰監軍。
及泰失利自殺、
弼與其徒六人走還陝州、
刺史劉貴鎖送晉陽。
高祖詰之曰、
「竇中尉此行、
吾前具有法用、
乃違吾語、自取敗亡。
爾何由不一言諫爭也?」。
弼對曰、
「刀筆小生、唯文墨薄技、
便宜之事、議所不及」。
高祖益怒。
賴房謨諫而獲免。
左遷下灌鎮司馬。
中軍將軍、北豫州驃騎大將軍府司馬に遷る。
未だ官に之かざるに、儀同の竇泰は西伐を總戎し、
弼に詔して泰の監軍と為らしむ。
泰の利を失いて自殺するに及び、
弼は其の徒の六人と走りて陝州に還り、
刺史の劉貴は鎖して晉陽に送る。
高祖は之を詰りて曰わく、
「竇中尉の此の行、
吾は前に具に法の用うるあるも、
乃ち吾が語に違い、自ら敗亡を取る。
爾は何ぞ由りて一言の諫爭せざるや?」と。
弼は對えて曰わく、
「刀筆の小生は唯だ文墨の薄技あり、
便宜の事は議の及ばざるところなり」と。
高祖は益々怒る。
房謨の諫めに賴りて免るを獲る。
下灌鎮の司馬に左遷さる。
▲
天平3年(537)正月、
杜弼のキャリアにガッツリ
傷がつく事件が発生します。
前年末から東魏は大規模な軍事行動を開始、
関中に逼塞する西魏の息の根をとめるべく
杜弼は竇泰の
竇泰は
杜弼は軍を捨てて六人の従者とともに
東の
そこの刺史は
この人は遊牧民族至上主義者でして、
「漢人の命?なにそれおいしいの?」
というエクストリームな考えの持ち主。
「竇泰が死んでオマエら何で生きてんの?」
というわけで杜弼さん&六名のおまけたちは
鎖につながれて高歓がいる
当然のようにブチ切れの高歓とご対面です。
「竇泰はワシの作戦を無視して死んだワケだが、
オマエらはなんで諫言もせずにおったわけよ?」
どう見ても責任転嫁です。
本当にありがとうございました。
そう言いたいキモチはヤマヤマでありますが、
杜弼はすでにアラフィフ世代のオトナですし。
「我々のような文官は帳簿を扱うだけの身、
臨機応変の機略は任務の外でございましてな」
キッチリ言い逃れをしてみせますが、
当然のように激オコ高歓には火に油。
マジ切れされてしまいます。
この時、
高歓の下で行政を取りしきる
人がありました。
この人も元は
古くから
かなり漢人化していたようですが。
この人が高歓を諫めたので、
下灌鎮の場所は不明ですが、
『晋書』に「濟北國の蛇丘に下灌亭がある」
と記されておりますので、
この鎮は
縣の下につく小規模軍事拠点みたいですよ。
つまり、ごっつい左遷されたわけです。
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