誰もいない世界

 誰もいない世界を夢に見る。

 音のない世界。悲しみのない世界。

 太陽の下で交差点の真ん中に立って、どこまでも続く道の消失点を眺める。

 無限遠の彼方まで、そこには何も、誰もいない。

 暖かくもなく、寒くもない風が通り過ぎた。

 私は大きく息を吸って、息の絶えるまで思い切り笑った。

 崩壊してしまった、私の世界。

 私の笑い声が響き渡る。

 誰かに聞かれることもなく、その声は遠くに消えていった。

 四肢を投げ出して仰向けに横になった。

 青い空に白い雲が浮かんでいた。

 瞼を閉じて、眠りについた。

 熱のない世界、喜びのない世界。

 崩壊してしまった、私の、平衡。

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さっさと崩壊してしまえ 鈴雲朱理 @Akari_comet

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