4. ふたりの海
ぼくは、毎日のように須磨海岸を
沖まで泳ぎ出て、人魚の子が来るのを待った。
長く待つことはなかった。彼女はすぐにやってきて、
ぼくが彼女の肩につかまると、彼女は力強く泳ぎ出し、
そこでは、海水の色も
時に、彼女はぼくの足を引っ張り、海中に引きずり込む。
少しも怖くなかった。それが遊びなのはよく分かっていた。ぼくが水面に飛び出すと、彼女は少し
ぼくは怒ったふりをして彼女を追いかける。彼女ははしゃぎ声をあげて逃げ出すが、すぐに
ぼくたちは、
そこで、ぼくたちは、喜びにあふれた
彼女のふたつの
ここには、ぼくたちふたりしかいない。ぼくたちを見ているのは、
ぼくは、波に
「きみは、どこから来たの?」
彼女は答えない。ただ、
彼女は、しゃべれないのだろうか。もしかしたら、人魚の国から
ぼくは、問いかけることをやめた。何も知る必要がなかったから。
彼女はぼくを
そこには、巨大な白い骨が沈んでいた。
海の底の、
須磨浦の海上には、多くの船が
楽しい時間は
日が暮れると、彼女は岸近くまでぼくを送り届けてくれる。そこでふたりは手を取り合い、抱き合い、また手を
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