おそらくは、そう遠くない未来のお話。
急激なスマホの普及により、人は声を発することをしなくなった。外見や性別への差別がないように、人々はすりガラスを身に着けて己の顔を隠し、発言がログに残ることを恐れて自由な発言すら憚られる世界⋯⋯
そんなある日、主人公はすりガラスを身に着けず、端末を使用せずに喋る謎の女性と出会い、当たり前であった社会の違和感に気付いていく。
僕達の祖先のしっぽが無くなったのは退化なのか、あるいは進化なのか。『声』を失ったことは果たしてどちらなのか⋯⋯
無変化であること、それもまた一つの進化なのかもしれない──そんなことを考えさせられるお話でした。
ご一読あれ、後悔はさせない。