バウンサー
今日も静かな夜にはならなかった。アキシロが電話で呼び出しを受け、店に辿り着くと、男が二人暴れていた。店、自慢の酒棚や北欧家具のテーブルが滅茶苦茶に壊されている。店主は目でアキシロに助けを求めていた。
「おい」
アキシロが二人に向かって声をかけると、そのうちの一人が何も言わずに殴りかかってきた。アキシロは袖に隠していた特殊警棒を振り抜く。男の拳が届く前に目を狙った警棒が届いた。男は左目を潰されて体勢を崩した。アキシロは男の左に回り込むと警棒の柄で側頭部を砕いて止めを刺した。男は床に倒れて動かなくなった。
「殺したのか?」もう一人の男が呟いた。
「確かめてみたらどうだ」
アキシロそう言って死体の脇腹を蹴り上げた。
「お前死ぬぜ、絶対に殺されるぜ」
「お前が俺をやるのか?」
「違う、カンパニーがお前を許さないのさ」
「そうか」
どうやら何か藪を突いてしまったようだが、アキシロは特に感情が湧いてこなかった。
アキシロは男がジャケットに手を入れるのを見た。次の瞬間男の頭が血煙を上げて吹き飛んだ。バーカウンターの奥では、店主がいつの間にかショットガンを構えて立っていた。
「これからどうする?」 アキシロは聞いた。
「どうするったってよ。オオニシさんに話付けるしかないよ、これ」
「だろうな。少し出てくる」
アキシロはキッチンで血を洗い落とすと、店を後にした。
ニッケルオデオン @nokizin0219
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