愛に生きる"姫"の一代記

 作者友浦さんの作品は本作以外にも複数読ませてもらいましたが、本作は初めて発表された長編作品ということで、改めて読み進めるとその作品の完成度に感嘆しました。
 物語は素敵な殿方とのラブロマンスの枠だけでは収まらない、もっと大きな勧善懲悪では割り切れない「どんな犠牲を払ってでも自身の信念を貫く」という意味での”正義の物語”を固唾を呑んで読み進めました。主人公の番子は、もはやヒロインというよりはヒーローと呼ぶべき存在に思えて熱い物語だなと感じました。私が大好きな特撮モノを観ているようで満足しています。例えるならば初期の平成仮面ライダー。『クウガ』を彷彿とさせる小説でしたね。