「き」

「聞いてる?」

君は気分がすぐれず、聞こえないフリしてる。

煌く夜空と北風が、君の傷跡にキスをする。

「汽車の切符は、基地に忘れた」

記憶を頼りに、軌跡を辿る。希望も期待も記憶から消えた。

君は喟然、聞かぬ顔。

「切符を忘れないように」

君は嫌いじゃない。きっと、綺麗な感情じゃないから、今日こそは消えよう。

「聞き耳を立てないで」

君の気は遠い。

機械の軋み。叫喚の規制。旭日、煌く。

君は帰郷する。ただ、欣幸の至り。




虚無。

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