真冬の葬列

あなたがいたら、どんなに良かっただろうと、考えてしまうと、

夜は一向に明けぬ。


あなたの言葉が、

人をどれだけ支えたことだろう。


妻は涙を枯らすだろう。

あなたの子らは、泣いていた。


いつぶりだろうか、泣く人を見るのは、

いつぶりだろうか、目蓋を腫らすのは。


幼子は泣かなかったよ。

おやすみと、あなたに叫ぶや、花々の中。


部屋に吹く、寂滅の風は、

消えたあなたのいびきと、同じなのだろうか。


あなたが残してくれた、右手の温もりが、

消えゆく、秋の夜。


冬が来るよ。


あなたが生きた冬。

あなたが好いた冬。

あなたが消えた冬。

あなたが燃えた冬。

あなたを偲ぶ冬。


冬が来るよ。

そちらでは、お元気で?

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