忘れられたのなら、どんなによかっただろう。

白い雪の下、冷たくなっていくあなたを、ただ見つめる。

何十年後かに、あなたの名が石に刻まれ、

先に逝った仲間たちと連なる未来を、

僕は見ていられるだろうか。

冬が終われば、きっと、

僕らは帰れるはず。父と母の元へ。友と過ごした、愛しき故郷。

平和のために、僕ら、

血と涙と汗を流していると思っていたがその実、

平和なんてなし得ていなかった。

こたつの中で、ただ眠っていたい。

雪が溶けるよ。

春が来るよ。

誰も、迎えに来てはくれない。

雪が溶け、冬が終わったとしても。

僕の名は、石に刻まれる。

僕の肉は、雪の下に埋もれる。

冬が、終わる。

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