2015221

☕︎

燻りの眼(まなこ)でみる日常

目の前に1人の大人が立っている。私は机に座っている。隣にも前にも後ろにも机と同い年の子供。この位置関係。


好きになれる筈がない。


ザラ紙の何かが書かれたプリントが配られる1時間目。何処にでもある様な学校に通う何処にでも居そうなとある女子生徒の私。

プリントの内容を確認する。

『三平方の定理 NO.1』と書かれているそれを半分に折り下敷きを挟みシャーペンを構えた。前に立ち見当外れな箇所を熱弁する男の姿に呆れる10分後。いつもの事。日常。

そして呆れている頭でイメージされる自分自身と軽く窓の先を見つめながら開かれていく対談。それも日常、なのだ。


『今日もつまんないなぁ。アイツの話も人格も。』

「言い過ぎでしょ。」

『本心ですけど?』

「ごもっともです私。」

『そうでしょう私!』


コイツは私。私が本心で語れる相手。


「そう言えばまた机隔離されてるんだけど、教室入って来てから気付かなかったのかねぇ。私結構露骨に離されてんだけど。」

『気付いてるけどほってるだけよ。あいつ、担任として熱弁してくるクセに肝心な綻び直しは仕事しないんだからねぇ。ニートよニート。まぁ、熱弁してる事そのものがしょうも無いから仕方ないか。』

「.......次、配布係の当番なのよねぇ。」

『うげっ。』

「また配るなコールが湧き上がるわ...。」

『田本でしょ?....今日のメイン田本にする?』

「おっけーじゃぁお題田本について。」


この数学が終わるまで

たっぷり

じっくり

語り合いましょ。

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2015221 ☕︎ @outou

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