産みの苦しみと七転八倒

Q. なんで完結できたんですか?

 3月某日、無事に拙作『世界で一番あなたがきらい』が完結しました。読者の皆様に助けられてばかりの連載でした…ありがとうございます。

 というわけで、ここからは胸を張って(?)連載中の悩みやら、素人なりの解消法やらを綴っていきたいと思います。


Q. どうして完結できたのか?

 *初めに申し上げますが、勿論、クライマックスまで煮詰めてから書き始められるならば、それの方がいいのです。

 **ただ、そんなことしてたら、物語そのものを書くことも辞めてしまうわ…!という方向けの方法を、完結できた理由として以下に紹介しております。


【理由1】

 ざっくりとではあるが、話の流れを準備できていたから。

 (詳細→https://kakuyomu.jp/works/1177354054888482564/episodes/1177354054888497803

 この準備を行うことで、物語の終盤まで『解決してはいけない問題』の目処が立ちました。

 『解決してはいけない問題』とは、『解決すると、その物語が終わってしまう問題』のこと。

  本作でいうと、『水の国と火の国の対立』『アッシュが過去を乗り越えられるか否か』『アッシュとフェンの間の(本当の意味での)信頼関係』なんかが挙げられます。

  例えば、『火の国と水の国との対立』が中盤で解消してしまうと、最終局面でフェンとアッシュが対立する理由付けがなくなってしまいます。

  なので、これら3つ問題に関しては、前半~中盤で問題掲示し、終盤のクライマックスで3つの問題を一気に解決、という形をとりました。このおかげで、連載の行き詰まりが防げたように思います。


【理由2】

 定期的な執筆を心がけていたから。

 とにかく、一文でもいいから毎日執筆していました。

 一週間の執筆の流れはこんな感じ。

 

 日曜:ネタを箇条書き

 ↓

 月曜~木曜:シーンごとに分けて文章にする(大体、一話あたり2~3シーン)

 ↓

 金曜:各シーンをつなげる

 ↓

 土曜:仕上げ(細かな助詞とか確認)

 ↓

 日曜:投稿

 

 ちなみに、一晩置いてから投稿、はとても大事です。前日に駄目だと思った部分も、翌日には良く見えてくることもあるので(逆も然り)。

 定期更新として、前半~中盤は週2回更新、終盤は週1回更新を絶対の掟としていました。いかにクオリティに納得できずとも、とりあえず物語の筋が通っていたら投稿。

 …自分が納得してない物をだして大丈夫か…?と思われるかもしれませんが、意外と作者が気にするほど、読者の方は気になさってない、ようでした。ありがたいことに。(読者の方が優しいから…というのも、多分にあるかもですが…)

 

【理由3】

 事件のトリックに関しては、事あるごとに煮詰めるようにしていたから。


 クライマックスのトリックについては煮詰めないまま連載開始したので、なるべく早くトリックを煮詰める必要がありました。煮詰めなければ伏線を張れないからです。

 というわけで、連載を進めながらも常にクライマックスはどうするか、という流れをノートに書きなぐっていました。


 例えば、終盤(第52話、第53話)のトリックを思いついたのは、ゲイリーというキャラが生まれた、第10話を執筆していた時でした。

 そもそもゲイリーは第10話限りの脇役として、適当に考えついただけのキャラでした(ごめんね、ゲイリー…)。

 ところが、彼を考える過程で、クライマックスの流れがふっと浮かんだのですね。その瞬間に、彼はレギュラー入りした訳です。


 ここから何を言いたいかと言うと、連載開始前には思いつかなかったトリックが、連載中に形になることがある、ということです。

 コツはないんですが…とにかくしつこく、連載中にクライマックスまでの流れを考えまくることをオススメします(私の場合、各章を始める際に、何度もクライマックスまでの流れを(超展開ながら)書き出して、張るべき伏線や物語の終わり方を考えていました)。


【理由4】

 物語終盤では、既存の設定を洗い出し、これらを利用して物語を進めていたから。

 (こうすると、既存の設定が伏線っぽくみえてくるというオマケつき)


 そうはいっても、どうしても煮詰めきれない場面というのもありました。

 こうなってくると、もう書きながら煮詰めるしかありません。


 例えば終盤の、反乱軍はどこに潜伏しているのか、ということをアッシュ達が議論するシーンが該当します(第49話)。

 この時、反乱軍の潜伏先は決まっていませんでした。

 そこで、現在の状況を整理してみた訳です。つまり、これまで出できた、『村の名前』『反乱軍を探しにきた火の国の兵士から見つかりにくい場所』『食料が安定して手に入るところ』『反乱軍が潜伏していることを、協力者が漏らさないこと』などです。

 これらの条件に上手く合致する村が『ダリル村』ということになります。


 さながら、物語のキャラクターと共に推理をしているようで、私も楽しかったです。しかも、既存の設定を流用するので、前話までの状況が伏線のように見えてくるというオマケもあります。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る