経営

スーツを着た2人の男性が大きなテーブルを挟んで話し合っている。

「いやぁ、本当にそちらのNPCには助かってます。」

上座に座っている男性がにこやかに話す。

「喜んでいただけて何よりです。」

下座に座っている男性が恐縮する。

「しかし、レンタルNPCというアイデアは中々思い浮かびませんよ。しかも、ここのNPCは全部人間そっくりで、思考も多種多様。参りました。」

「それ程でも。」

レンタルNPC・・・最近多くなったVRMMORPGの世界で、多種多様なNPCを作成、貸出を行う新しい事業である。

MMORPGでは、人が多い事が、ゲーム自体の賑わい、ひいては収益に直結する。

その為、人と見間違うほどのNPCを多数用意し、サクラをさせる事が行われていた。

しかし、NPCを多数準備しても、所詮はNPC、すぐにばれてしまうのだ。

だが、この会社の作るNPCは、人と全く同じ思考や趣向を持ち、サクラと全くばれないと言う事で評判になっていた。

「一体、どうやってあれほど精巧なNPCを作ってるんですか?」

「企業秘密ですが、しいて言うなら、わが社の開発したAIですね。」

そう言って、下座の男性がにやりと笑う。

「なるほど、AIですか。所で、今度またうちで作成するゲームにNPCをお貸しいただきたいのですが。」

そう言って、上座の男性は封筒を下座の男性に手渡す。

「どれどれ・・・。」

書類に目を通した下座の男性は、にこやかな表情を上座の男性に返す。

「判りました。NPC10000体ですね。またお見積もりをお渡ししますので、よろしくお願いします。」

「ありがとうございます。」

そう言って、二人は握手を交わす。その後、数10分程話をした後、上座の男性は下座の男性に見送られながら応接室を後にした。

「NPC10000体か。なに、素材はいくらでも集まるさ。」

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幸せの国 めび @vernys

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