5.人がどうやって作品にたどり着くか考えよう
おれ、既読。
前回までは早く作品を書くことの重要性と、いかに早く作品を書くかについて論じた。今回からは書いたものをどう人に読ませるかについて書く。
いちばん最初に述べたとおり、人に読んでもらうことは書き続ける力になる。そうして、早く書くことが人に読んでもらうことにつながる。
この両輪がそろうと、創作のサイクルは好循環を生み出す。
おまえらの多くは、作品を書いてもあまり人に読まれないことを嘆いているものと思う。
それは逆に言うと、あとは人に読まれるようになりさえすれば、創作の好循環が生まれ、よりよい作品を次々と生み出せる可能性があるということだ。
とはいえ、人に読んでもらうのは簡単なことではないし、この章だけでは最低限のことも伝えきれない。
いくつか段階を分けて論じたいと思う。
なお、おれは「なろう」ではまだほとんど活動していないから、なろうのことはよくわからない。
ここではカクヨムのみで作品を公開する場合を念頭に論じる。
■「よい作品を書けば読まれる」はまちがい
『ラーメン発見伝』を未読の方はぜひ読んでいただきたい。ラーメンとラノベはよく似ている。供給が過剰にあり、目立たないものは容易に埋もれてしまう。
もし仮に、おまえが何かを書いて、それが人に読んでもらえていないとしたら、まず「よい作品を書けば読まれる」という期待は捨てるべきだ。
これは「よい作品が書けていないから読まれていない」に容易に転換し、心を折る理屈にかわる。
そも「よい作品」とは何か?
「人に読まれる作品」がよい作品だとすれば、先の命題は「人に読まれる作品を書けば人に読まれる」と言い換えてよいことになり、これは何も意味しない。
何が「よい作品」かというのは、人によって変わる。
おまえにとっておもしろい作品が、おまえにとってのよい作品だ。
そうして、世に人は多い。
おまえがおまえの作品を本当におもしろいと思うなら、その作品をおもしろいと思うやつは、きっとほかにもたくさんいる。
ただ、それだけでは読まれないのだ。
■人はどこから来るのか?
まず、自分の作品に人がどこからどうやって来ているかを知ることが重要だ。
人はどこでおまえの作品を見つけて読みに来ている?
ツイッタに過度な期待をするのはやめろ。
おまえのフォロワが3まんあるなら、それを使うといい。
だが、無差別フォローとフォローバックで増やしたようなフォロワは、おまえのツイートなど読んでいない。
いまからツイッタでネタをバズらせてフォロワを増やすくらいなら、小説をどんどん書いて、カクヨムのフォロワを増やしたほうがいい。
ツイッタのフォロワはきまぐれで興味の対象もバラバラだが、カクヨムのフォロワは小説を読みに来ているやつらだからだ。
何十倍もの価値がある。
さて、おれはもう答えを言ってしまった。
おれの作品では、かなりの割合のユーザが「フォローしている作者/作品の更新」から訪れていることがわかっている。
おれをカクヨムでフォローしているユーザは120人くらいいるが、こいつらはマジにありがたい存在で、おれが新たに作品を投下すると、真っ先に読みに来てくれる連中だ。
この「作者フォロー」を増やしていくことが、非常に重要だ。
この数の重要性に比べれば、作品ごとの☆の数なんて問題にならない。
しかし、「作者フォロー」はなかなか増えない。
なぜなら人はいきなり作者に興味をもったりしないからだ。
まずは作品をフォローする。これが当たり前のなりゆきだ。
しかるに、「作品フォロー」を増やしていくことが、当面の課題となる。
■作品フォローさせるまでの経路を考えろ
作品をフォローさせてまずは一作読み切らせ、「この作者なら次作も読みたい」と思わせて作者をフォローさせる。
ここまでできるようになれば、あとは作品をアップするだけで、人が読みに来てくれるようになる。
そうなれば、おまえがきらいな「宣伝」を、ツイッタで必死にする必要もない。
とはいえ、まずは作品をフォローさせることが難しい。
そもそも読んでくれている人自体が少ないのに、作品をフォローしてくれる人がその中にどれだけいる?
作品をフォローさせるまでには、次のようなハードルがある。
1.作品に目をとめてもらう
2.作品をクリックしてもらう
3.第一話を読んでもらう
4.第二話を読んでもらう
5.飽きさせずに読めるところまで読んでもらう
6.続きを読みたいと思わせる
7.フォローボタンを押させる
なんと困難なことだろう。
作品フォローさせるまでには、こんなにも多くの離脱機会があるのだ。
しかし並べてみると、ユーザから見て無駄と思えるアクションはあまりない。
カクヨムのUI改善で、このハードルがこれ以上大きく下がるとは考えにくい。
つまり、これらすべてのハードルを越えるための対策が必要なのだ。
次回は、それぞれの段階に応じた対策を検討してゆく。
■フォロワこそおまえの宝だ
今回、おれは少し蛇足を書く。
前のほうで、おれは「よい作品なら読まれるとは限らない」という趣旨のことを書いた。
それは、世にあまりに多くの作品があふれ、ただ置いてあるだけでは埋もれてしまうからではあるのだけれど、それだけが理由ではない。
世の人々の多くは、作品そのものの良し悪しで、読む作品を決めてはいないのだ。
むしろほとんどの人が、「みんなが読んでるから」という理由で読む。
そこで自分が楽しめれば楽しかったと言うし、つまらなければこき下ろす。
いずれにせよ、「読んだ」という声が、読まれた作品にさらに人を呼び寄せる。
よい作品に飢えていて、まだ誰も読んでいないよい作品を探し求めて読む人など、ごく少数だ。
だから、よい作品でも読まれるとは限らない。
よい作品であることは、多くの人に読まれるために重要な要素ですらないかもしれない。
それでも、おまえの作品をフォローし、おまえの作品なら次も読みたいと感じてくれる人がいることを、おまえはどう考えるべきだろう?
おまえのフォロワは、とんでもなく貴重な存在だ。
世にほとんどいない、よい作品を求める人であり、しかもおまえの作品を、よい作品だと思ってくれる人だ。
フォロワこそ宝であり、それを求めることを恥じる必要なんて少しもない。
むしろ、フォロワになってくれたかもしれない人を逃してしまうことをこそ恐れるべきだ。
おれはそう思う。
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