3.10日書いてみれば慣れる。次の10日で終わる。
おれ、既読。
前回はなんで早く書かなきゃいけないかのはなしをしたから、今回はどうやって早く書くかのはなしをする。
結論から言ってしまえば、いちばん大事なのは締め切りだ。
締め切りが決まれば、その日までにどのくらいずつ書かなきゃいけないか決まる。
あとはなんとしてもそれを達成するだけだ。
■締め切りを決めるのがまずなにより大事なんだぜ
おれは20日で10万字、1日平均5,000字だったけれども、さいしょはキツかった。
でも10日で慣れた。
次の10日で締め切りが来て、終わった。
ここで重要なポイントが3つある。
・無理すぎる締め切り設定は無理
・心の中だけの締め切りは無意味
今度は2つで終わってしまった。
終わってしまったとき、「もう一個なんかないかな?」と探す必要はない。
終わったら、そこで終われ。
それはともかく、無理すぎる締め切りが無理なのは当たり前だ。
ただ、ここでだいじなのは「自分の状況に応じて」だということだ。
20日で10万字は、あくまで働いてる人にとっては早いペースという程度と思う。
ほかのことは一切しないで小説だけ書いてれば、1週間くらいで10万字も無理ではないかもしれない。
ちなみにおれは残業をあんまりしない。
会社じたいが20時以降の残業を基本的に禁止しているためだ。
だいたい9時に出社して、20時には会社を出る。
今回、20日間の間で休日は暦通りの7日間に加えて、有給を1日取得した。
だから、もっと長時間働く人にとっては、もう少しゆるい目標設定が必要だ。
とはいえ、だいたい1か月で10万字くらいがいいところだろう。
「できた」という自信につながるくらいの目標設定がいい。
それから、ふたつ目のポイントについては言うまでもない。
おれたち怠惰で不道徳ないきものは、こころの中の約束ごとを守れない。
最も効果的なのは何かの賞への応募だ。
なんでもいい。探してそれを目標にする。
これで締め切りを決めたら、次はそれをおおやけにすることだ。
こいつに「締め切り守れてないじゃん」って言われるのは死んでも嫌だと思うようなヤツに向かって宣言しろ。
これで、おまえは締め切りから逃れられなくなる。
■1日の平均文字数はあくまで平均だ。1週間でバランスをとれ
おれが20日で10万字チャレンジをしたときは、もちろん毎日きちんと5,000字書いてから眠ってたわけじゃない。
小説はそのように進まない。仕事もだ。
大事なのは、目標と進捗のギャップが大きくなりすぎないように進めることだ。
あと3日で10万字到達の予定なのに原稿は2万字しか進んでいないみたいな状況は、作品をエタらせる原因になる。
おれは土日休みだから、平日の遅れを土日で取り戻すようにする。
1週間で帳尻が合えば問題ない。
とはいえ、何も書かない日をつくるのはよくない。
とにかく1,000字でも500字でも進めろ。
次の日も進捗ゼロだと、計画はまず破綻する。
■帰宅してから書き始めやすい状況をつくれ
今回、おれは試みに、各話の最初に前回のあらすじを2行設け、各話の終わりに次回予告を3行設けた。
この部分の表現は定式化して、脳みそを使わなくても書けるようにしておいた。
もともとは、これまでの作品で感じていた課題、読者の離脱防止が目的だった。
Web小説は斜め読みや読み飛ばしが多い。
それでいて、読者が最も離脱してしまいやすいポイントは、「状況がわからなくなったとき」だ。
勝手な話だが、読者は書かれている内容すべてを読んでいるわけではない。
下手をすると会話文だけ読んでいるヤツもいるらしい。
そうした読者を切り捨てるのは簡単だけれど、拾うほうがかしこいとおれは思う。
そこで、じっさいやってみると、離脱率が下がった※のはもちろんだが、この効果はむしろ書き手側によく作用した。
まず、次回予告を書くことで、次に書くことが決まる。
次回予告まで書いて寝れば、仕事をしている間のすきま時間で、次の話の骨格を固めることができる。
さらに、おれは出勤時間に前回のあらすじとその下のはじめの数行だけを書くことにした。
おれの通勤時間のうち、電車に乗っている時間は正味で20分程度だ。
その間に、300字~500字だけ書く。
すると、導入部分が書けている状態で帰宅するので、書き出しやすいのだ。
働きながら小説を書くうえで、最もキツいのは、帰宅してから書き始めるまでだ。
書き始めてしまえば、なんだかんだで1,000~2,000字は進む。
だから、「書き始めやすい状況」をつくることがとても大切なのだ。
※ちなみに『三田村さん、性欲をもてあます。』のアクセス数を見てもらえばわかるが、第32話までの各話離脱率は20%以下だ(2019年2月10日現在)。
■無駄に悩むな
おまえたちはどうか知らないが、おれは基本的にPCで作業をしている。
上で書いた導入部分だけ、スマホからフリック入力で書いている。
どちらにせよ、物理的にとにかく文字を打つだけなら、執筆の十倍以上のスピードで打ち込むことができるはずだ。
つまり、実際の執筆時間のうち、ほとんどの時間を、おれたちは考えることに使っているわけだ。
しかし、おれたちが次の一行の書き出しに悩むとき、そこは本当にそれだけの時間をかけるべき重要な部分なのだろうか?
それほど大事でない、読み飛ばされても大筋に問題ないような部分で、時間を使ってしまっていないだろうか?
無駄に悩まないことだ。
とにかく、思いついたことを書いてみろ。
描写に悩んだら、「キンキンキンキン!」でいい。
とにかく書いてみて、問題なく書けるところまで書き進めろ。
それで、振り返ってダメなところを直せばいい。
小説を書いていると「岩盤」にぶち当たることがよくある。
そこさえ抜ければあとはサクサク進むはずなのに、どうしてもその数行が書けないなんてところに、10万字書いてたら何度ぶつかるか知れない。
そういう「岩盤」は、前からつつくだけではなかなか壊せない。
けれど、とりあえず何か書いておいて、後ろが出来上がると、自然に解消されるケースも多いのだ。
一方で、じゅうぶんに時間をかけて悩むべき場所もある。
作品の大きな方針を決める部分。物語が大きく動く部分だ。
今回、おれは『三田村さん、性欲をもてあます。』をプロットなしで書いたこともあり、ここにじゅうぶんな時間を使うことができなかった。
結果、終盤のシリアス部分への導入に唐突感が生まれ、読者の離脱を引き起こしてしまった。
とにかく早く書くことの弊害は、実は少なくない。
書いてみると、それが実感できる。
だが、実感することが大切だ。
本当に時間を使わなくてはならない部分が、よりはっきりと見えてくるから。
次回は、時間を使わなければならない部分について書こうと思う。
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