第2話

「おい山本!ぼーっとしてんじゃねーぞ。

夏の大会まであと一週間だぞ集中しろよ」

あーあ、また怒られちゃったよ。というわけで絶賛説教中の山本です。一応エースやってます。

「おい山本聞いてんのか!」

「あ、はい」

こんな感じで熱血監督に怒られながらも毎日白球を追ってます。




そしてついに大会当日…彼の身に降りかかる試練をまだ知る由もなかった。

「9回の表第一高校の攻撃はバッター佐藤くんに変わりまして山崎くんバッター山崎くん背番号6」

うわぁー。厄介なバッター出てきたよ。やだなー。伝令出てきたし。歩かせとか言うなよな。

「いいか山本ここで抑えれば甲子園だ真っ向勝負で抑え込め」

いやーマジですか。敬遠はやだなーとは言ったけど抑えられる気しないって。これ打たれたら逆転されるじゃん。でも監督指示だから従いますけどね。

「はい。頑張ります。」

初球キャッチャーが人差し指のサインを出す。直球だ。アウトローキャッチャーのミットに吸い込まれた。ワンストライク。

2球目また人差し指。全力で投げ込んだ。ツ

ーストライク。

勝負の3球目インハイの真っ直ぐ要求。一か八かこの1球に全てをかける。

「うおーー」



「キーーーーン」







「いててて、____あれ、ここどこだ?グラウンド?」

「…くん…とくん山本くん!」

なんだか頭がおかしくなったみたいです。頭に打球を受けたからでしょうか。天使と名乗る人が目の前にいます。

「あなたは転生しました。契約に従い特別な力をさずけましょう。」

「幻聴まで聞こえる。これはやばいな。」

「幻聴じゃありません!!!!」

「出口どこだろ。」

「あなたは転生しました。契約に従い特別な力をさずけましょう。」

「契約なんてした覚えないんだけどな。クーリングオフ効くかな。」

「この契約は召喚時にかわされるものなので取り消しはできません。」

「いやどんな詐欺だよ!」

「いいから早く力を決めんかい!」

突如頭の中にいくつかの選択肢が浮かんだ。


英雄化:皆があなたを崇め奉るでしょう

筋力 魔力 戦闘力大幅アップ

マジックボックス: なんでも入る魔法の箱これさえあれば商人として大成できる

召喚術:いわゆるサモナーになれる。もふもふ出来る

球速アップ:平均球速が20あがる


…いや最後のおかしくないか?これ選ぶやついないだろ。俺以外に。

「決めた。珠速アップで。」

「はーい。ってえー!?英雄化とかじゃなくていいの?」

「はい。だって僕の夢プロ野球選手ですから。」

「あ、それならちょうどプロ野球魔王軍の入団テストやってますよ。そこに転移させますね。」

「あ、ありがとうございます。 え、今魔王軍って言いました?テンプレ的にはラスボス的なやつですよねそれそんなとこ行っていいんですか?」

「はい。この世界は魔人と人間が共生していますから。」

「え、じゃあなんで僕召喚されたんですか?魔王を倒すんじゃないんですか?」

「いや、違いますよ。あのまま死ぬのはかわいそうに思ったからですよ。」

「ちなみに僕はどうやって死んだんですか?」

「打球を取ろうとしてグラブを出したら頭にあたって死にました」

え、ダサすぎません?僕の死に方。なんかやりきれない気持ちですね。でもまあせっかくの異世界召喚なので楽しみたいと思います。

「あ、ちなみにチートスキルとかないんですか?」

「一つだけ、死に戻りが出来ます。ただし1回死ぬ度に痛覚が大幅に大きくなるので注意してください。」

なんとも使い勝手の悪いチートスキルだ。

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異世界野球 @trumpeter_

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