第25回電撃小説大賞受賞作家 スペシャル鼎談《番外編》

渋谷瑞也/ミサキナギ/冬月いろり/電撃文庫

第25回電撃小説大賞受賞作家スペシャル鼎談《1》


現在好評発売中の『電撃文庫MAGAZINE 2019年3月号』より、第25回電撃小説大賞受賞作家スペシャル鼎談を掲載!『電撃文庫MAGAZINE』掲載時には紙幅の都合で収録できなかったこぼれ話も掲載しちゃいます!


第一回は、各受賞作の執筆秘話に……迫る!




◆意外と硬派?『つるぎのかなた』感想&執筆秘話


――本日はお集まりいただきありがとうございます! 受賞者同士の鼎談ということで、せっかくなのでお互いの作品を読んできて頂いたのですが……自己紹介ならぬ他者紹介ということで、それぞれの作品の感想から教えてください! ではまず、《金

賞》の『つるぎのかなた』から!


ミサキナギ:『つるぎのかなた』は硬派な作品だな、という印象を受けました。最近の作品の傾向だと、主人公が強くて困ったりすることってあまりないじゃないですか。それがこの主人公は強いことにかなり悩んでいたので、逆に新しいなと思いました。


冬月:『つるぎのかなた』はスポーツものをほぼ読んだことがない私でも、熱量がすごく伝わってき楽しかったです。少し冷めた日常から、試合になった時の熱さが、とにかくかっこいい。


渋谷:そう言って頂けると嬉しいです。


――かなりしっかりした剣道の描写が印象的ですが、本作の着想はどこから?


渋谷:自分の経験からひっぱりあげてこようかな?というのが最初の着想です。二本応募しようと思っていて、年末だったのでスケジュールを考えたら取材するのが難しかったんですよね。でも、いざ書いてみたら二本書き上げるなんて全然無理でしたけど……。


ミサキナギ・冬月:(笑)。


渋谷:なので身近な剣道から選んだというのがあります。ただ書く前は結構、迷いましたけどね。剣道小説を書くときにためらいとしてあったのは、話がどうしても小さくなってしまうことでした。普通の高校生の話をやると絶対、話として小さくなって、講評で「小さくまとまってはいけません」とか言われるのかなと勝手に予想してました(笑)。


ミサキナギ:先を見てますね(笑)。


渋谷:でも、迷うくらいなら書いた方が早いって思い書きました(笑)。結果的にいいスケール感も出せて、そこは良かったと思います。ミサキナギさんはどうですか?


ミサキナギ:色々アイディアを探していく中で、暗器使いの少年が出てくる漫画があったんですよ。ただ人間の少年だったら、あんまりしっくりこないなと思いました。そうなると、「じゃあこれいったい誰と戦わせるの?」とまた疑問に思って、暗器を

もった機械人形に、人間じゃ太刀打ちできないだろうと考えた末に、「よし、敵は吸血鬼にしよう」という発想になりました。そこから世界観ができましたね。




◆これぞライトノベル?『リベリオ・マキナ』感想&執筆秘話


――色んな発想のつながりが、創作の糧になっているんですね……では、そんな《銀賞》の『リベリオ・マキナ』について、冬月さん・渋谷さんの感想を教えてください!


冬月:『リベリオ・マキナ』は……ライトノベルをあまり読まなかったんですけど、これがライトノベルなんだなって思いました(笑)。出てくる二人の女の子がね、どっちもすごくかわいい。


渋谷:確かに! ちゃんと冒頭で女の子が惚れてくれる感じとか、これがザ・ライトノベルかって思いました。読者の期待に常に応えてくれる、素晴らしいエンタメですよね。


ミサキナギ:そう思って頂けるなら成功したなという感じです(笑)。バトル、ラブコメ、涙ありで、私が面白いと思ってるものを全部詰め込みましたので。


渋谷:贅沢盛りですね(笑)。いいなあ。やっぱりいしいものが沢山あるのは、それだけで嬉しいですから。


――そうした要素を盛り込む時に、かなりしっかりとプロット等を組まれたんですか?


ミサキナギ:基本的にプロットはしっかり組みます。が、書いているといきなり、キャラが想定外のことを話し始めることはよくあります。そうするとキャラの動きを優先するので、意外な展開になったりもしますね。


渋谷:いいなあ、僕は結末から逆算して作る派なので、キャラは本当に動かなくて。キャラが動くってどういうことですか……?


ミサキナギ・冬月:(笑)。


冬月:私は頭の中に文字が浮かんできますね(笑)。


ミサキナギ:勝手にしゃべるんですよ(笑)。


渋谷:しゃべらないし、浮かびませんよ(笑)。今回どのキャラクターが動きました?


ミサキナギ:やっぱり、主人公の水無月ですね。思い入れが深いキャラクターということもありますけどね。




◆この設定でもう勝利⁉『鏡のむこうの最果て図書館』感想&執筆秘話


――それでは、同じく《銀賞》『鏡のむこうの最果て図書館』について、ミサキナギさん、渋谷さんの感想を教えてください!


ミサキナギ:『鏡のむこうの最果て図書館』は、設定で勝ってるなと思いましたね。主人公が記憶をなくしているので、当然読者は主人公の過去を知りたくなるわけじゃないですか。だからもう絶対それで最後までこれ読ませるよなっていう感じです。


渋谷:それ、本当にすごいところですよね。


ミサキナギ:そうなんですよ。その設定でどんどん読ませるから……。


渋谷:冬月さんは、設定を作るのってお好きなんですか?


冬月:全然です(笑)。どちらかというと、キャラクターを作るほうが好きですね。


ミサキナギ:私もさっき、思い入れが深いキャラで水無月を挙げましたけど、キャラクターを作るほうが好きですね。


冬月:渋谷さんは、思い入れがあるキャラとかは?


渋谷:思い入れで言うとみんな平等なんですけど、苦労した点で思い出深いのは吹雪ですね。準主人公でもありヒロインでもあるんですが、奴は気を抜くとどちらかの要素がすぐに倒れてしまうんですよ。さじ加減にとても苦労しました。


ミサキナギ:快晴はどうでした?


渋谷:快晴はあまり難しくなかったですね。良いやつとして書けば良いので。全体的に、出てくる登場人物は全員みんないい子たちで、最後にはみんな救われるんだ、というところには特に気を付けて書いていました。


――ちなみに、冬月さんが一番思い入れがあるキャラクターは?


冬月:思い入れがあるのはリィリですかね。何を考えているのか分からない、という設定なのですが、私にも何を考えているか分からなくて大変でした。


渋谷:冬月さんの作品のキャラもみんな良いやつですよね。読んでいて、気持ちいいなと思いました。


冬月:そう言って頂けると嬉しいです。




◆次回は、各受賞者の作家になったきっかけが聞ける……!?次の更新を待て!



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